大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)(読み)おおやまづみじんじゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)
おおやまづみじんじゃ

愛媛県今治(いまばり)市大三島(おおみしま)町宮浦に鎮座。大山積大神(おおやまつみおおかみ)一柱を祀(まつ)る。三島大明神、大三島宮ともいう。創建年代は不詳であるが、仁徳(にんとく)天皇のとき、百済(くだら)から摂津国(大阪府)三島に渡来した大山積大神を、のち小千(乎致)命(おちのみこと)が芸予(げいよ)海峡の大三島に遷祀(せんし)したのが始まりと伝える。祭神は和多志(わたし)大神と称され、古くから神威を現し、766年(天平神護2)には神階従(じゅ)四位下を授けられ、神戸(かんべ)5戸をあてられている。875年(貞観17)には正二位に進み、『延喜式(えんぎしき)』では名神(みょうじん)大社に列し、伊予国一宮(いちのみや)となる。以後、源氏、北条氏、足利(あしかが)氏など武将の崇敬も厚く、ことに三島水軍の将、河野(こうの)氏は早くから氏神として当社を尊崇した。明治の官制で国幣中社となり、1915年(大正4)国幣大社に昇格。社殿は1217年(建保5)以後再度焼亡したが、1378年(天授4・永和4)大小社殿が復旧されて現在に至り、本殿は国の重要文化財に指定されている。例祭は旧4月22日。秋には旧8月22日に産須奈(うぶすな)大祭が行われる。旧5月5日の御田植祭、旧9月9日の抜穂祭(ぬきほまつり)には一人角力(ひとりずもう)(国の無形民俗文化財)が奉納される。宝物多数あり、なかでも甲冑(かっちゅう)類は全国の国宝、国の重要文化財の8割を数え、国宝は8点、重文は127点ある。紫陽殿、国宝館、海事資料館からなる宝物館がある。また樹齢3000年のクスノキ群は国の天然記念物

[阪本是丸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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