大日本古文書(読み)だいにほんこもんじょ

精選版 日本国語大辞典 「大日本古文書」の意味・読み・例文・類語

だいにほんこもんじょ【大日本古文書】

史料叢書。東京大学史料編纂所編。明治三四年(一九〇一)以来刊行中。わが国で最も規模の大きい古文書集で三系統に分かれ、このうち正倉院文書を主とした奈良時代の文書と幕末外交文書とは編年体、諸家諸寺社の家分け文書は所蔵者別に編成されており、そのいずれにも文書一点ごとに文書名・人名地名の傍注・内容見出しが添えられている。

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デジタル大辞泉 「大日本古文書」の意味・読み・例文・類語

だいにほんこもんじょ【大日本古文書】

史料集。東京大学史料編纂所編。明治34年(1901)以降刊行中。編年文書・いえわけ文書・幕末外国関係文書の三系統に区分される。編年文書は朱鳥元年(686)から宝亀11年(780)のものを、幕末外国関係文書は嘉永6年(1853)以降の文書を、年代順に配列。家わけ文書は武家や寺社などの所蔵者ごとに編纂している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大日本古文書」の意味・わかりやすい解説

大日本古文書
だいにほんこもんじょ

古文書の叢書。東京大学史料編纂所で 1901年から編纂,刊行中。詔勅綸旨 (りんじ) ,院宣,官符から御教書 (みぎょうしょ) ,下文 (くだしぶみ) ,感状軍忠状,個人の消息貸借証文まで,あらゆる種類の古文書を,ある場合は年代順に整理し,ある場合は所蔵者ごとにその整理に従って収めている。大別して次の3種がある。 (1) 編年文書 (25冊)  天武 14 (685) ~宝亀 11 (780) 年,主として正倉院に伝わった奈良時代の史料,文書を年代順にして収録し,諸家に伝わるものをも加えた。本編6冊,次々に整理発見されたものを追加 17冊,補遺2冊としている。奈良時代の研究には,『日本書紀』『続日本紀』があるが,政府の編纂物であり,この編年文書は原史料のままであって貴重である。 (2) 家わけ文書 諸家に所蔵されている文書を整理出版したもので,寺社文書,武家文書の重要なものが多い。既刊 119冊。 (3) 幕末外国関係文書 嘉永6 (1853) ~明治1 (68) 年の日本と外国との関係文書を集め,年月日を追って掲載刊行するもの。幕府の外国関係文書は,明治維新以後,江戸幕府から引継がれ外務省に保管された。初め外務省はこれをもとに編纂を行おうとしたが,のち東京帝国大学史料編纂掛に文書と事業は移管された。史料編纂掛では,さらに関係史料を集め,1901年に第1冊 (嘉永6年2~7月) を出版した。外国との往復文書,交渉の筆記を中心に,朝廷と幕府との往復文書,関係役所の布令上申書などのほか,朝廷や幕府に奉った意見書や役人の覚え書,世人の見聞,評判をも収録している。また,国防と外交とが同一視された時代であったから,国防関係の書類をも収録し,蝦夷地開拓や開港に関する文書も掲げている。 93年現在 44冊と付録7冊が刊行されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大日本古文書」の意味・わかりやすい解説

大日本古文書
だいにほんこもんじょ

東京大学史料編纂所(へんさんじょ)の編集している古文書集。既刊175冊(1986年12月現在)。史料編纂所は前身の内閣修史局以来、六国史(りっこくし)に続く正史の編纂を目的とし、その材料となる古文書・古記録の調査・蒐集(しゅうしゅう)を行っていたが、1901年(明治34)2月の『大日本史料』刊行開始に続き、同年7月から、古代・中世の古文書の翻刻である『大日本古文書』の出版を開始した。『大日本古文書』は、正倉院文書を中心に、685年(天武天皇14)から780年(宝亀11)までの奈良時代の文書を編年順に配列した「編年文書」、高野山(こうやさん)、石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)、島津(しまづ)家など諸家・諸寺社の所蔵文書を収めた「家わけ文書」、1853年(嘉永6)以降の外交文書を収めた「幕末外国関係文書」の3種からなり、黒板勝美(くろいたかつみ)、相田二郎(にろう)らの研究者が編纂に携わり、「編年文書」以外は現在も継続刊行中である。

[千々和到]

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改訂新版 世界大百科事典 「大日本古文書」の意味・わかりやすい解説

大日本古文書 (だいにほんこもんじょ)

東京大学史料編纂所が毎年編纂出版している日本の古文書集。公私の古文書を年代順もしくは所蔵者別に編成し1901年から出版開始。既刊分は170冊を超える。明治維新政府は,史料編纂所の前身である修史局(のち修史館)に命じ,六国史以降を扱った正史の編修をしようとして,全国から史料を収集した。この事業はのちに東京帝国大学(現,東京大学)に移管されたが,やがて正史の編修は中止され,史料の出版に切り換えられた。〈編年文書〉(正倉院文書を中心にした,奈良時代およびそれ以前の文書。完結),〈幕末外国関係文書〉(1853年以降。続刊中)および〈家わけ文書〉(高野山,浅野家,伊達家,石清水,相良家,観心寺,金剛寺,毛利家,吉川家,小早川家,阿蘇,熊谷家,三浦家,平賀家,山内首藤家,以上完結。東寺,上杉家,島津家,大徳寺,東大寺,醍醐寺,東福寺,蜷川家,以上続刊中)の3部からなる。日本の古文書学の発達に大いに貢献した。
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百科事典マイペディア 「大日本古文書」の意味・わかりやすい解説

大日本古文書【だいにほんこもんじょ】

東京大学史料編纂(へんさん)所が編纂出版している日本の古文書集。1901年刊行開始,既刊170冊以上。維新政府が修史局に命じ正史編集のために全国から収集した史料が移管され,史料中心の編纂に切り換えられたもの。〈編年文書〉(主に正倉院文書を編年整理),〈幕末外国関係文書〉(1853年以降の編年文書,続刊中),〈家わけ文書〉(高野山・東寺・東大寺や伊達家・毛利家など所蔵者別の文書)の3部からなる。
→関連項目醍醐寺文書大徳寺文書東寺文書

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大日本古文書」の解説

大日本古文書
だいにほんこもんじょ

東京大学史料編纂所が編修・刊行している古文書集。編年文書・家分け文書・幕末外国関係文書の3種がある。編年文書は1901年(明治34)から40年(昭和15)の間に正倉院文書を中心とする奈良時代の古文書集25冊が刊行されている。1904年に「高野山文書」から刊行された家分け文書は,古代・中世を中心とした古文書を所蔵者別に収録したもので,「大日本古文書」の中心をなし,2015年(平成27)3月現在,既刊144冊。1853年(嘉永6)6月以降の外交関係文書を編年順に編纂した幕末外国関係文書は,1910年に第1巻が刊行され,既刊60冊におよんでいる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大日本古文書」の解説

大日本古文書
だいにほんこもんじょ

明治時代以降,東大史料編纂所が刊行している古文書集成の叢書
正倉院文書を中心とする編年文書,『高野山』『浅野家』『伊達家』など寺社・諸家伝来の家わけ文書,別に幕末外国関係文書などがある。1901年より刊行開始,いずれも新発見の文書が増加するので未完。

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