大畑[駅](読み)おこば

百科事典マイペディア 「大畑[駅]」の意味・わかりやすい解説

大畑[駅]【おこば】

熊本県人吉市,肥薩線途中にあり,急勾配途上に駅を設置するための様々な工夫が見られるユニークな駅。1909年の開業当初は鹿児島本線だったが,海沿いの現ルートが1927年に開業した後,肥薩線となった。発着に際して1度は後退運転を強いられる,スイッチバックと呼ばれる方式が採用されている。類例姨捨駅や二本木駅など散見されるが,ここでは施設の制約から列車が物理的に通過できない構造になっている点が特筆されるほか,線路を螺旋状(らせんじょう)に敷設し勾配を少しでも緩和するループ線と呼ばれる設備も近接しており,これら勾配克服のための工夫を2種類も併用するケースは,他に類例がなく日本唯一である。ローカル線らしからぬ長いホームは,かつて本線の途中駅として開業した歴史を物語るものである。現在では,通過ができず進行方向も変えねばならない不便さを逆手に取り,同駅をはさむ人吉と吉松との間に観光列車が運行されている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android