大谷-定古墳群(読み)おおやさだこふんぐん

国指定史跡ガイド 「大谷-定古墳群」の解説

おおやさだこふんぐん【大谷-定古墳群】


岡山県真庭市上中津井にある古墳群。吉備高原に囲まれた盆地を流れる中津井川流域に位置する。大谷1号墳は7世紀後半に築造され、3段築成で、前面の方形壇まで含めると1辺約22mの方墳である。発掘調査で、大谷1号墳の切り石積み横穴式石室からは、金で飾った装飾付大刀(たち)などが出土している。大谷1号墳の1.5km東側の山裾に、定北古墳、定東塚古墳、定西塚古墳、定4号古墳、定5号墳と、合わせて5つの古墳からなる定古墳群がある。いずれも方墳で、定北古墳は1辺約25m、築造されたのは7世紀中ごろ。隣接する定東塚古墳と定西塚古墳は1辺15~25m、7世紀前半から中ごろに相次いで築造された。定4号墳は7世紀末~8世紀初頭の築造、定5号墳はやや小規模な方墳で7世紀後半の築造とされる。大谷-定古墳群はいずれも斜面を利用した段築成の墳丘の前面に、2段の外護列石をもつ方墳という共通した特徴があり、造墓技術の変遷を限られた地域内でたどることができる。定4・5号墳を除いた4基は、吉備地域を代表する首長墳と考えられている。岡山県内の古墳時代後期の大型首長墓はいずれも南部に位置するが、7世紀前半以降は北部のこの地で大型首長墓が継続的に築かれており、吉備地域全体が関わる変動をうかがわせる。2008年(平成20)に国の史跡に指定された。JR伯備線備中高梁駅から備北バス「中津井」下車、徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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