日本大百科全書(ニッポニカ) 「大隅石(おおすみせき)」の意味・わかりやすい解説
大隅石(おおすみせき)
おおすみせき
osumilite
シクロ珪(けい)酸塩鉱物の一つ。六角短柱状結晶ないし微細な粒として、流紋岩ないしデイサイトの空隙(くうげき)あるいは石基中に産する。鹿児島県垂水(たるみず)市咲花平(さっかびら)で産する本鉱は、最初菫青石(きんせいせき)と考えられていたが、1953年(昭和28)都城秋穂(みやしろあきほ)(1920―2008)によって新鉱物として報告された。以来、鹿児島県下の他産地からも、イタリアやアメリカなどからも発見された。ほかに、グラニュライト相に属する塩基性変成岩の合分として産したり、玄武岩や安山岩中の捕獲岩中にも産する。なお第一鉄よりマグネシウムの多いものは、苦土大隅石osumilite‐(Mg)という別種扱いになる。名称は原産地(咲花平は大隅半島にある)に由来する。
[松原 聰]
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