大雲寺(京都市)(読み)だいうんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大雲寺(京都市)」の意味・わかりやすい解説

大雲寺(京都市)
だいうんじ

京都市左京区岩倉上蔵(あぐら)町にある単立寺院。もとは天台宗寺門派。山号は紫雲山(しうんざん)。俗称を岩倉観音(かんのん)という。本尊は十一面観音。971年(天禄2)円融(えんゆう)天皇の勅により日野中納言(ちゅうなごん)文範が真覚(しんがく)を開山として建立。その後、寺運甚だ盛んで、993年(正暦4)に叡山(えいざん)で円珍・円仁(えんにん)の両門徒が争った際、余慶(よけい)はじめ円珍の門徒1000人が山を下って当寺に住し、僧房を建てて三塔に分かれた。その後も天台宗寺門派の中心寺院として栄えたが、天文(てんぶん)年間(1532~55)兵火のために炎上した。1633年(寛永10)実相院門跡(もんぜき)義尊(ぎそん)がこれを再興し、以後実相院の兼務所となって今日に至る。金色の本尊十一面観音像は行基(ぎょうき)の作という。ほかに天安(てんあん)二年(858)八月の銘がある梵鐘(ぼんしょう)(国宝)一口が伝わる。

[平井俊榮]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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