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天皇の「おことば」 てんのうのおことば

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知恵蔵の解説

天皇の「おことば」

宮中晩さん会や、外国訪問の際の天皇の「おことば」は、外務省を中心に政府の責任で作成されている。象徴天皇としては政治的発言はできないとしても、歴史的な加害責任を負う相手国の場合、反省の気持ちがどのように表現されるか注目を集める。いわば対等の交戦国だった米国に対しては「私が深く悲しみとするあの不幸な戦争」(1975年)。英国に対しては、捕虜虐待の過去に配慮して「戦争により人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」(98年)とやや手厚い。侵略責任を問われる中国に対しては、訪中の際に「我が国が中国国民に対し多大の苦難を与えた不幸な一時期」(92年)と責任の主体を明確化した。また、植民地化の重い過去を引きずる韓国に対しては、来日した盧泰愚大統領に対して、「我が国によってもたらされた」と主体を明示したうえで「痛惜の念を禁じ得ません」(90年)と表現を強めている。本来、天皇の「おことば」や相手側スピーチに外交場裏の綱引き影を落とすことは、象徴天皇制の運用としては好ましくないだけに、政府・外交当局の慎重な配慮が求められる。

(岩井克己 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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