精選版 日本国語大辞典 「天竺」の意味・読み・例文・類語
てんじく テンヂク【天竺】
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中国で3世紀以降に多く用いられたインドの呼称。古くは〈身毒(しんどく)〉〈賢豆(けんず)〉〈天篤(てんとく)〉とも呼ばれていた。7世紀の中国僧玄奘はこの〈天竺〉の称が異議糺紛(きゆうふん)であるとして,正音にしたがって〈印度〉というべきことを述べており,唐代以後は主として〈印度〉の名称が用いられた。中国で古くインドを表した音写語群のもとの言語としては,川の名に由来するシンドゥSindhu(なまってヒンドゥ,ギリシア語ではインドス)があげられる。それらのうち〈天竺〉は〈身毒〉の音が転じて〈天篤〉となり,さらに篤の語が転じて竺となったとみる説もある。古代インドではその地を東西南北に中部を加えた5区に分け,これを五天竺(印度)と呼び,釈迦在世当時(前5~前4世紀)には十六大国があったことを仏典に記している。
執筆者:三友 量順
民間の神楽(かぐら)や祭文(さいもん)の詞章,あるいは御伽草子,説経節の詞章をみると,物の起源にまつわって〈天竺〉という語があらわれることが多い。御伽草子《熊野の本地》は,熊野三所権現の起源を天竺の摩訶陀(まかだ)国での不幸な事件に求めていて,事件の後,その関係者が飛車に乗って日本の紀伊国牟婁(むろ)に来たことになっている。説経節《苅萱(かるかや)》では弘法大師が流砂河を渡って天竺の文殊菩薩のもとに行って知恵くらべをするところがある。これは文芸化されてはいるが,弘法大師の法力の起源を天竺の文殊菩薩に求めたものと考えられる。民間の神楽,たとえば荒平舞(あらひらまい)の詞章などでも,山の大王の起源を天竺に求め,土佐の物部(ものべ)村の〈いざなぎ流祭文〉も,博士(陰陽師)の呪力の起源を天竺天でのできごとに求めている。これらからすると,天竺は現実のインドを指すが,同時にその外延として,日本とは異なった異域・異界としての意味が拡大され,具体的に指示する対象を失って,あの世とこの世との両義的な意味をになった空間となり,この世での物事の起源にまつわる象徴的な空間を指し示すことばとなる。このような意味での天竺に至る過程にも注意すべきで,たとえば流砂河や筑羅(ちくら)が沖といった,この世の極界を示す場所を通ったり,飛車という超現実的な手段で交通する。さらに天竺が神話的な空間であることが強調されると,地表から天空にかけのぼって,天竺天などと表現される。神話的空間として天竺が文芸化されると,霊異な事件がおこるメルヘン的,あるいはロマン的空間になると思われる。
執筆者:山本 吉左右
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中国古代のインド地方の呼び名。同系統の古称としては天篤(てんとく)、天督(てんとく)、天豆(てんとう)、天定(てんてい)などがあり、語源は、身毒(しんどく)、印度(いんど)などと同じく、サンスクリットのシンドゥーSindhu(インダス川地方)であるとされる。文献では『後漢書(ごかんじょ)』「西域伝」に「天竺国、一名身毒。月氏(げっし)の東南数千里にあり」とあるのが最初であり、魏晋(ぎしん)南北朝期に一般化し、日本にも広まった。
[尾形 勇]
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