天香久山(あめのかぐやま)(読み)あめのかぐやま

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

天香久山(あめのかぐやま)
あめのかぐやま

奈良県中西部、橿原(かしはら)市東部にある小丘陵。標高152メートル。「あまのかぐやま」ともいう。また天香具山とも書かれ、単に香久山、賀久山とも称される。竜門(りゅうもん)山地の多武峰(とうのみね)から北西に延びる尾根末端に位置し、おもに堅い斑糲(はんれい)岩からなる残丘である。山容はなだらかで樹木に覆われ、山頂からの展望に優れる。畝傍(うねび)山、耳成(みみなし)山とともに大和三山(やまとさんざん)とよばれるが、この山だけが火山性ではない。藤原京の東方を鎮護する神山として古代人の崇敬を集めた。舒明(じょめい)天皇の国見の歌が『万葉集』にあり、また持統(じとう)天皇の歌「春すぎて夏来たるらし白たへの衣(ころも)干したり天(あめ)の香具山」(『万葉集』巻1)は有名。

[菊地一郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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