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夫婦別姓 ふうふべっせい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

夫婦別姓
ふうふべっせい

日本の民法では,夫婦は夫または妻の姓のいずれかを共通の姓としなければならないと定めている。これを夫婦同氏の原則といい,形式上では男女平等の建前をとっているが,現実には社会における男女の力関係を反映し,98%近くの妻が自分の姓を捨てて婚姻している。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

夫婦別姓

結婚後、夫と妻で別の姓を名乗ること。古来日本は、現在の中国や韓国と同じく、夫婦別姓が原則であったが、明治民法制定時、欧米に倣い夫婦同姓制度が確立した。戦後、家制度の廃止後も夫婦同姓は残り、現在、約95%が結婚後は夫の姓となっている。だが、1990年頃から、仕事で姓を変えたくない、娘に家名を継がせたいなど様々な理由で、夫婦別姓の動きが強まる。法制審議会は96年に選択的夫婦別姓を認める民法改正案を答申するも、離婚が増えるなどの誤解もあり、成立の見通しが立っていない。ただ、通称として旧姓使用を認める職場も増えている。英米では、妻が夫の姓に変わる夫婦同姓が多いが、戸籍制度がないため、比較的自由に姓を選択できる。ドイツでは、女性が、旧姓を夫の姓と名前の間に挟む結合姓が認められている。

(山田昌弘 東京学芸大学教授 / 2007年)

夫婦別姓

結婚後、夫と妻、両者の姓(名字)を統一せず、それぞれ別の姓を名乗ること。現在の日本では法的に認められておらず、婚姻後は夫婦どちらかの氏(姓)を名乗ることとなっている。このため、「姓を改める者がアイデンティティーの喪失感を抱く」などの理由で別姓を主張する夫婦は、戸籍上は同じ姓とし、「通称」として結婚前の姓を使う、籍を入れない事実婚の状態で別姓を名乗る、といった方法を取っている。
1990年頃から夫婦別姓や婚姻時に同姓と別姓を選択できる「選択的夫婦別姓」についての議論が活発になり、旧姓の通称使用を認める企業なども増えてきたが、法的には実現していない。最高裁大法廷は2015年12月、東京都内の事実婚の夫婦らが、国が長年法改正を放置したため精神的苦痛を受けたとして損害賠償を求めた訴訟の判決で、夫婦同姓について、初めて「合憲」とする判断を示した。だが、一方で選択的夫婦別姓を「合理性がないと断ずるものではない」とし、制度のあり方を国会で議論するよう求めた。また、最高裁判事15人中、女性裁判官3人を含む5人が夫婦同姓を「憲法違反」と判断し、今後の議論の行方が注目されている。
海外では、日本のように法律で同姓を義務付けている国はほとんどない。中国や韓国では別姓が原則で、英米では、比較的自由に姓を選択できる。「結婚した女性は夫の姓を使う」と法律で定めていたタイでも、05年に選択的夫婦別姓を導入。ドイツでも、1994年から選択的夫婦別姓が認められている。
日本では、かつては夫婦別姓が一般的だった。江戸時代、武士階級など一部の特権階級が姓(苗字・みょうじ)を名乗ることができ、武家の女性は婚姻後も実家の姓を使用していた。明治維新後の1870年、姓の使用が国民全体に許されるようになり、76年には、政府が「妻は結婚後も実家の姓を名乗る」という指令を出した。しかし、98年に施行された旧民法で「家」を単位とする戸籍制度が導入され、「戸主(一家の長)及ヒ家族ハ其家ノ氏ヲ称ス」などとして、夫婦同姓制度が確立。戦後、1947年の民法改正で「家」制度は廃止されたが、夫婦同姓制度は残った。現在は民法750条で「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定められ、夫婦の96%(2015年12月現在)が夫の姓を名乗っている。だが、国際社会では夫婦別姓または自由に姓を選択できる国が多いことから、日本は国連女性差別撤廃委員会から同姓制度を改正するよう勧告されている。
女性の社会進出が進み、夫婦別姓についての議論が活発になる中で、法務省の法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案を答申したが、自民党内などで「別姓は家族の一体感を損なう」といった反対論が根強く、実現していない。新聞社などの世論調査では、賛成、反対がきっ抗しているケースが目立つ。

(南 文枝 ライター/2016年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

夫婦別姓

民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と規定している。現在、別姓を実践する夫婦は(1)結婚して戸籍上は同姓としたうえで結婚前の姓を「通称」として使用する(2)籍を入れずに「事実婚」とする――などの方法をとっている。1996年には、法相の諮問機関「法制審議会」が、希望する夫婦はそれぞれの姓を変えずに結婚できる「選択的夫婦別姓」を盛り込んだ民法改正案を答申したが、実現していない。

(2015-12-15 朝日新聞 朝刊 香川全県・1地方)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

ふうふ‐べっせい【夫婦別姓】

結婚後も夫婦が結婚前の姓を名乗ること。→夫婦同姓

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百科事典マイペディアの解説

夫婦別姓【ふうふべつせい】

日本では民法750条により結婚後,夫婦いずれかの姓(氏)を選ばねばならない。これを夫婦同氏の原則という。現状は98%が夫の姓に改姓している。しかし女性の社会的進出が進み,結婚後も働きつづける場合,改姓により不利益を生ずる例が多い。

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大辞林 第三版の解説

ふうふべっせい【夫婦別姓】

男女が婚姻の際にいずれかの姓を選択することなく別姓であること。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

夫婦別姓
ふうふべっせい

夫婦が別々の姓を名のること。中国や韓国(大韓民国)、ベトナムサウジアラビアなどでは伝統的に夫婦別姓である。ヨーロッパ諸国では、どちらの姓を名のるか法律で規定されていない国や夫婦同姓とする国などさまざまであるが、1975年の「国際婦人年」以後、各国で女性が自立した社会人として、職業をはじめあらゆる分野に進出するのに対応して、夫婦別姓、あるいは双方の姓をつなげた結合姓を選択する自由を認める法改正が、イタリア(1975)、オーストラリア(1981年および1986年)、デンマーク(1981)、スウェーデン(1982)、ドイツ(1993)などで行われた。アメリカでは州法によって規定が異なるが、カリフォルニア州マサチューセッツ州など多くの州で、夫婦別姓や結合姓が認められている。
 日本の民法は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」(750条)と夫婦同姓(夫婦同氏)を規定しているが、夫婦が別々の姓を称することを認めるよう法を改正しようとする動きが出てきた。1989年(平成1)、東京弁護士会の女性の権利に関する委員会が「選択的夫婦別氏制採用に関する意見書」を関係機関に提出したのをはじめ、夫婦別姓を認めるよう求める運動が広がり、国民の世論も高まった。法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会身分法小委員会は、1991年1月から結婚・離婚に関する法改正の一環として夫婦同姓・別姓の検討を開始し、1996年2月、婚姻制度の見直しを中心とした民法改正要綱を決定した。同要綱に盛り込まれた夫婦別姓制度は、
(1)夫婦は結婚の際に同姓を名のるか別姓を名のるかを選べる(選択的夫婦別姓)
(2)別姓夫婦の子供は、婚姻時に決めてあった同姓を名のる
(3)既婚夫婦も改正法施行後1年間は夫婦の合意で別姓夫婦になることができる
といった内容である。しかし、内閣府によって行われた「家族の法制に関する世論調査」によると、選択的夫婦別姓について、「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ姓を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」と答えた人は、1996年(平成8)39.8%、2001年(平成13)29.9%、2006年35.0%、「夫婦が婚姻前の姓を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の姓を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と答えた人は、1996年32.5%、2001年42.1%、2006年36.6%となっている。2009年の調査では、賛成49%、反対48%であるが、20~50代では賛成が過半数であった。このように、世論は賛否が拮抗しており、また国会議員のなかに強く夫婦別姓に反対する勢力があって、民法改正は進んでいない。女性のなかには、婚前・結婚後、離婚・再婚後に同じ姓で社会人として活動するために、通称として別姓を使用している例が増加している。[山手 茂]
『高橋菊江・折井美耶子・二宮周平著『夫婦別姓への招待――いま、民法改正を目前に』(1995・有斐閣) ▽福島瑞穂・榊原富士子・福沢恵子編著『楽しくやろう夫婦別姓――これからの結婚必携』(1996・明石書店)』

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世界大百科事典内の夫婦別姓の言及

【氏名】より

…それらは,氏の法的な変更を伴わない〈夫の氏の使用権の取得〉であったり(フランス),自分の氏と夫の氏との〈結合氏〉であったりする(イタリアなど)。また,妻も夫も〈出生氏〉を生涯維持する夫婦別姓の国もあれば,別氏・同氏・結合氏から選べる国も多い。〈名〉こそが個人を特定する表象であり,名に付随して男性は〈親の名+ソン〉,女性は〈親の名+ドッティル〉という〈父称(ないし母称,あるいは父称と母称との結合)〉を〈ラースト・ネーム〉としてもつ国もある(アイスランド)。…

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