奏・乙(読み)かなでる

精選版 日本国語大辞典 「奏・乙」の意味・読み・例文・類語

かな・でる【奏・乙】

[1] 〘自ダ下一〙 かな・づ 〘自ダ下二〙 舞をまう。舞って手を動かす。
古事記(712)下「爾に其の大前小前宿禰、手を挙げ膝を打ち、儛(ま)ひ訶那伝(カナデ)〈訶より下の三字は音を以ゐよ〉歌ひ参来(まゐき)つ」
※堀河百首(1105‐06頃)冬「広前(ひろまへ)の庭火の光あきらけくかなづる袖を見るぞ嬉しき〈隆源〉」
[2] 〘他ダ下一〙 かな・づ 〘他ダ下二〙
① 鞭(むち)などを振る。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
② 琴などの弦楽器を弾く。音楽を奏する。〔書言字考節用集(1717)〕
邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・秋の瞳「やはらかに葬送(はうむり)のうれひかなでて、過ぎゆきし Trombone(トロムボオン)いづちいにけむ」
③ 音楽を奏するように、さまざまな情趣様相を表現する。
俳句世界(1954)〈山本健吉〉四「挙句(あげく)最後の句)に至るまでの間に、場面・情趣の豊かな変化を奏(カナ)でて行く」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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