契・期(読み)ちぎり

精選版 日本国語大辞典 「契・期」の意味・読み・例文・類語

ちぎり【契・期】

〘名〙 (動詞「ちぎる(契)」の連用形の名詞化)
① 互いに固く将来約束すること。いいかわすこと。盟約
書紀(720)欽明五年一一月(寛文版訓)「此誠(このまこと)に千載一会の期(チキリ)深く思ひて熟(うま)く計らざるべけむや」
※枕(10C終)七五「女どちも、契りふかくてかたらふ人の、末までなかよき人かたし」
前世から定まっていて、どうすることもできない宿命。前世からの約束。
※竹取(9C末‐10C初)「昔の契有りけるによりなん」
③ 運命的なつながり。因縁。宿縁。
源氏(1001‐14頃)桐壺「今はつらかりける人のちぎりになむ」
浄瑠璃・大経師昔暦(1715)中「親子の契り」
夫婦関係の固い約束をかわすこと。また、男女が会って情をかわすこと。恋の逢瀬
※源氏(1001‐14頃)松風「月に二たびばかりの御ちぎりなめり」
※良寛歌(1835頃)「臥して思ひ起きて眺むる七夕のいかなることの契(チギ)りをかする」

ちぎ・る【契・期】

〘他ラ五(四)〙
① 固く約束する。
※宇津保(970‐999頃)吹上下「昔、ちぎられたる中なれば、見知られたらんとなむ思ふ」
平家(13C前)八「死なば一所で死なんとこそ契しに」
② 男女が将来の変わらぬ愛情を誓う。夫婦の約束をする。
※書紀(720)皇極三年正月(岩崎本平安中期訓)「而るに長(え)女、所期(チキリ)し夜、族(やから)に偸(ぬす)まれぬ」
③ 男女が肉体関係を結ぶ。夫婦のまじわりをする。
太平記(14C後)一一「二度は人に契(チギ)らじと髪ををろし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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