妊娠と性器ヘルペス症

六訂版 家庭医学大全科 「妊娠と性器ヘルペス症」の解説

妊娠と性器ヘルペス症
(女性の病気と妊娠・出産)

 妊娠中に性器ヘルペス症が発症しても、それが胎児に及ぼす影響はありません。しかし、分娩時に母体が性器ヘルペス症にかかっていると、産道で胎児が単純ヘルペスウイルスHSV)に感染し、新生児ヘルペスを発症します。

 性器ヘルペス症が初感染である場合には約50%、再発でも数%の新生児ヘルペスが発症するといわれています。初感染の性器ヘルペス症で新生児ヘルペスの発生が多いのは、母体のHSVに対する抗体がないことが関係しているのではないかと推測されています。

 新生児ヘルペスは死亡率が高い病気なので、分娩時にヘルペス性病変が外陰部や腟にみられる時は、帝王切開を行って分娩時の感染を防ごうとすることが一般的です。

 最近では、ヘルペスに対する抗ウイルス薬であるアシクロビルの胎児への影響が少ないことがわかってきて、妊娠中でも積極的にアシクロビルの投与を行い、帝王切開を避けようとする意見もあります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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