妻入(読み)つまいり

精選版 日本国語大辞典 「妻入」の意味・読み・例文・類語

つま‐いり【妻入】

〘名〙 切妻屋根入母屋(いりもや)屋根建物で、妻の側に出入口を設けて、それを正面とするもの。⇔平入り
※紙上蜃気(1758)「褄入 堂社」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「妻入」の意味・わかりやすい解説

妻入
つまいり

日本建築の用語で、建物の妻(つま)側に出入口のあるものをいう。「つま」とは端を意味し、建物では棟と平行する側を平(ひら)といい、棟と直角の方向になる側を妻という。したがって、建物の長辺が平、短辺が妻となることが多い。建物の出入口が平側にあるものを妻入に対して平入という。弥生(やよい)時代や古墳時代の住居・倉庫では妻入が主流であった。神社建築では大社造(たいしゃづくり)、住吉(すみよし)造、大鳥(おおとり)造、春日(かすが)造が妻入であるのはこの伝統によるものであろう。日本建築では一般に平入が多く、住宅建築では寝殿造の対屋(たいのや)、書院造主殿(しゅでん)が妻入である。また民家のなかでも、地方によっては妻入の町家や農家があって、その地方の特色にあげられるものもある。

[工藤圭章]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「妻入」の意味・わかりやすい解説

妻入【つまいり】

平入(棟と平行の側面)の対。切妻造や入母屋(いりもや)造等の建物での側を正面として出入口をもつ建築形式。妻入の形式は古く出雲大社神魂(かもす)神社等はその典型である。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android