子どもの手続代理人制度(読み)こどものてつづきだいりにんせいど

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

家庭裁判所での調停や審判で、必要な場合に、子ども(未成年者)の手続代理人として弁護士を選任する制度。2011年(平成23)5月成立、2013年1月施行の家事事件手続法(平成23年法律第52号)に規定されている。家庭裁判所の許可を得れば弁護士でない者も手続代理人となることができる。従来の家事審判法(家事事件手続法の施行に伴い廃止)のもとでは、両親の離婚調停・審判であっても、家庭裁判所の調査官が面接などにより子どもの意向をヒアリングする程度だった。しかし、家事事件手続法では、その結果によって子どもが影響を受ける調停・審判においては、家庭裁判所は、子どもの意思を把握するように努め、その意思を考慮しなければならないと定められ、子どもの監護(監督し保護すること)に関わる調停・審判など一定の事件について、子ども自身が手続に参加することが認められた。具体的には、裁判長(または子ども自身)が手続代理人を選任し、手続代理人となった弁護士は子どもの意向を聞き取り、それを手続きに反映させる。

 ただし、子どもの意見は、長く接しているほうの親に影響されがちである。そのため手続代理人は、単に子どもの意見を聞くだけでなく、子どものためになるかどうかを判断することも求められている。たとえば、子どもが「母親と一緒に暮らしたい」と主張したとしても、虐待を受ける可能性があり不適切と判断すれば、そのことを本人に説明し、本人が納得するまで話し合う。日本弁護士連合会は適切な手続代理人を育成するためにマニュアルを作成、一つの質問で二つ以上のことを尋ねない、「はい」「いいえ」で答えられる質問はなるべく避ける、答えをじっくり待つ、などの注意点を掲げている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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