字彙(読み)じい

精選版 日本国語大辞典 「字彙」の意味・読み・例文・類語

じ‐い ‥ヰ【字彙】

[1] 〘名〙
漢字を類別して集め、読み方・意味などを解説した書。字引字書。〔石梁‐草字彙後序〕
※春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉をかし「博士ジョンソンが字彙(ジヰ)を編みける時 Curmudgeon といふ語の語源詳(つまびら)かならざりしかば」
[2] 明の梅膺祚(ばいようそ)の編集した字書の名。一二集。ほかに首・尾二巻。万暦四三年(一六一五)刊。三万三一七九字を二一四部首に分類。画引字書の最初のもの。
随筆・折たく柴の記(1716頃)上「これら皆皆〈略〉、みづから韻会(いんゑ)・字彙(ジヰ)等の書によりて誦じ習ひたれば」

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デジタル大辞泉 「字彙」の意味・読み・例文・類語

じい【字彙】[書名]

中国の字書。12巻。梅膺祚ばいようそ編。所収3万3179字。214部首を立て、各部ごとに画数によって配列

じ‐い〔‐ヰ〕【字彙】

漢字を類別して集め、字義用法などを解説した書物。字引。字書。
[補説]書名別項。→字彙

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「字彙」の意味・わかりやすい解説

字彙
じい

中国の字書。明(みん)の梅膺祚(ばいようそ)の撰(せん)。1615年(万暦43)刊行。3万3000余の漢字を214の部首に分け、部首の配列および部首内部の漢字配列はいずれも筆画の多少により、各字の下には古典や古字書を引用して字義を記す。検索しやすく便利な字書として広く用いられた。部首内の漢字を筆画順に並べることは金(きん)の韓道昭(かんどうしょう)『五音篇(へん)海』(1208刊)に始まるが、本書は筆画順の原則を部首にも適用し、かつ部首の数を『説文解字(せつもんかいじ)』の540、『五音篇海』の444から大幅に整理した。214部による筆画順の漢字配列法は、清(しん)朝の『康煕(こうき)字典』、中華民国の『辞海』、日本の各種漢和字典にも受け継がれ、字書史上に大きな意味をもつ。

[平山久雄]

『福田襄之介著『中国字書史の研究』(1979・明治書院)』『小川環樹著「中国の字書」(『日本語の世界3 中国の漢字』所収・1981・中央公論社)』

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