宋慶齢（読み）ソウケイレイ

デジタル大辞泉

そう‐けいれい【宋慶齢】

［1892～1981］中国の政治家。広東カントン省海南島の人。孫文夫人。宋美齢・宋子文の姉。日本に亡命中、孫文と結婚。孫文の死後、国民党左派に属し、蒋介石しょうかいせきと対立。中華人民共和国成立とともに国家副主席に就任。ソン＝チンリン。

ソン‐チンリン【宋慶齢】

⇒そうけいれい（宋慶齢）

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

そう‐けいれい【宋慶齢】

中国の政治家。広東省海南島の人。宋子文、宋美齢の姉。孫文夫人。第二革命失敗後、孫文と日本に亡命。孫文の死後、国民党左派を率いて蒋介石と対立した。武漢政府崩壊後、抗日倒蒋運動を行ない、第二次世界大戦後は、中華人民共和国副主席となった。（一八九二‐一九八一）

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

宋慶齢
そうけいれい / ソンチンリン
（1892―1981）

中国の政治家。孫文夫人。広東(カントン)省海南島出身。姉の宋靄齢(あいれい)は孔祥煕(こうしょうき)夫人、妹の宋美齢(びれい)は蒋介石(しょうかいせき)夫人、弟の宋子文(しぶん)は国民党・政府の要人という名家の1人である。三姉妹ともアメリカのウェルズリー大学に学んだ。辛亥(しんがい)革命後に孫文臨時大総統の秘書となり、のち彼とともに日本に亡命、1914年（大正3）、日本で25歳年上の孫文と結婚した。孫文死去（1925）後、国民党執行委員となり、以後国民党左派として活躍、魯迅(ろじん)らと中国民権保障同盟を結成、また国際赤十字などの活動を通じて日中戦争中は重慶(じゅうけい)の国民政府と延安(えんあん)の中国共産党との連絡、国共合作に従事した。1948年、李済深(りさいしん)らの国民党革命委員会に参加、国民党の党内改革を試みた。中華人民共和国の成立とともに国家副主席に就任、また1954年以来、全国人民代表大会代表、同常務委員会の副委員長を務めた。

［加藤祐三］

『仁木ふみ子訳『宋慶齢選集』（1979・ドメス出版）』▽『イスラエル・エプシュタイン著、久保田博子訳『宋慶齢』上下（1995・サイマル出版会）』

[参照項目] | 国共合作 | 重慶政府 | 宋子文 | 宋美齢 | 孫文 | 中国国民党 | 李済深 | 魯迅

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

宋慶齢
そうけいれい
Song Qing-ling

[生]光緒19(1893).1.27. 上海
[没]1981.5.29. 北京
中国の婦人政治家。孫文夫人。姉の宋靄齢は孔祥煕夫人，妹の宋美齢は蒋介石夫人，弟は宋子文。 1913年アメリカのウエスリアン女子大学を卒業し，南京臨時政府の臨時大総統孫文の秘書となった。同年第二革命失敗後，孫らとともに日本に亡命し，15年孫と結婚。 25年孫の死後は，孫の「連ソ，容共，労農扶助」の新三民主義の擁護を主張し，国民党左派に属し，26年国民党中央執行委員に選ばれた。 27年国共分裂後，国民党の反共化に反対して渡欧し，ベルリン，モスクワなどに滞在。 31年帰国し国民党中央執行委員に選ばれたが，蒋介石をはじめとする国民党の反動化に抗し，32年魯迅，蔡元培らと民権保障同盟を結成して政治犯釈放に尽力。日中戦争時期は抗日運動の内部的団結に努力した。 49年人民政治協商会議に参加し，中華人民共和国が成立すると中央人民政府副主席となり，中国社会主義建設に参加。 51年スターリン平和賞を受賞。 54年全国人民代表大会常務委員会副委員長，59年中華人民共和国副主席に就任。 78年第5期全人代常務委員会副委員長。 81年5月，死の前に共産党員，国家名誉主席となる。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

山川 世界史小辞典 改訂新版

宋慶齢(そうけいれい)
Song Qingling

1893～1981

中国現代の政治家。孫文夫人。海南島文昌の人。上海の生まれ。海南島の財閥宋耀如(そうようじょ)の次女。長女靄齢(あいれい)(孔祥熙(こうしょうき)夫人)，三女美齢(びれい)(蒋介石(しょうかいせき)夫人)の宋家三姉妹として知られる。1911年孫文の秘書となり，ともに日本に亡命，14年に結婚。孫文の死後，国民党左派として武漢政府に参加，蒋介石の国民政府を批判した。国共内戦期は共産党を支持し，中華人民共和国成立後も大陸にとどまって，政治協商会議に参加した。晩年は国家副主席，名誉主席を務めた。

出典　山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」

改訂新版　世界大百科事典

宋慶齢 (そうけいれい)
Sòng Qìng líng
生没年：1893-1981

中国革命と生涯をともにした女性政治家。原籍は広東省海南島文昌県。上海生れ。宋靄齢（孔祥煕夫人）の妹，宋美齢（蔣介石夫人）・宋子文の姉。アメリカ留学後，1915年孫文と結婚。孫文の死後，26年国民党執行委員，婦人部長となり，27年蔣介石の反共クーデタを糾弾し，以後国民党左派の立場で反動とたたかった。日本の侵略に際し，抗戦を支えるために，38年保衛中国同盟を発起し，主席として活躍。中華人民共和国成立後は，人民共和国副主席，全国人民代表大会常務委副委員長，人民政治協商会議副主席，全国婦女聯合会名誉主席等を歴任した。
執筆者：石田 米子

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

百科事典マイペディア

宋慶齢【そうけいれい】

中国の政治家。孫文の夫人。海南島の人。宋子文，宋美齢の姉。米国留学の後，1911年孫文の秘書となり，1914年結婚。孫文の死後，国民党左派として中央執行委員，婦人部長などを歴任し，国共分裂後ソ連を訪問。1932年魯迅，蔡元培らと民権保障同盟を結成し主席となる。国民党の反動化とたたかい，親ソ容共を強化した。解放後は1975年まで国家副主席など多くの要職についた。

出典　株式会社平凡社

デジタル版 日本人名大辞典+Plus

宋慶齢 そう-けいれい

1893^*－1981　中国の政治家。
光緒(こうしょ)18年12月10日生まれ。孫文(そんぶん)の妻。辛亥(しんがい)革命後,1912年孫文臨時大総統の秘書となり,のちともに日本へ亡命,1915年東京で結婚した。孫文死去後,国民党左派として活躍。1959年中華人民共和国国家副主席,1981年国家名誉主席となる。1981年5月29日死去。90歳。上海出身。アメリカのウェスレアン大卒。

出典　講談社

世界大百科事典（旧版）内の宋慶齢の言及

【何香凝】より

…第1次国共合作時期の国民党婦女部部長。四･一二クーデタ以後は，宋慶齢とともに一貫して蔣介石を批判する立場に立って活動した。解放後，人民代表大会常務委員会副委員長，中華婦女聯合会副主席をつとめた。…

【スメドレー】より

…37年，延安に入り，朱徳の人格に魅せられて伝記を執筆しはじめたが，日中戦争が勃発したので八路軍の前線に赴いて《中国は抵抗する》(1938)を書く。また宋慶齢らとともに中国赤十字運動でも活躍した。41年帰米，代表作《中国の歌ごえ》(1943)によって，アメリカ人の独立の精神と中国人の反ファシズムの戦いを重ねあわせた力強い世界を構築してみせた。…

【中国民権保障同盟】より

…趣旨は国民党反動派の白色テロに反対し，人民の言論，出版，結社の自由を守り，すべての愛国的，革命的政治犯を救済するにあった。1932年12月，宋慶齢を主席，蔡元培を副主席，楊杏仏を幹事長として発足し，ただちに陳独秀，許徳珩，廖承志，丁玲らの救済を試みている。上海，北京などに分会を有し，魯迅も上海分会の執行委員として名を連ねていた。…

※「宋慶齢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」