定て(読み)さだめて

精選版 日本国語大辞典 「定て」の意味・読み・例文・類語

さだめ‐て【定て】

〘副〙
[一] 非推量文に用いる。
① 肯定文に用いる。
(イ) はっきりと。明らかに。
※蘇悉地羯羅経延喜九年点(909)「決(サタメテ)能く願を満つ」
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「コレワ sadamete(サダメテ) レイノ イソポガ シワザニ ヨッテ」
(ロ) 絶対的真理を表現するために用いられたもの。かならず。たしかに。
今昔(1120頃か)三「盛(さかり)なる者は必ず衰ふ、生(しょうじ)ぬる者は定めて死ぬる事也」
② 否定文に用いる。下に打消の表現を伴う。決して(…でない)。
※今昔(1120頃か)三「死なむ事定(さだめ)て不疑ず」
[二] 推量文に用いる。
① 下に推量の表現を伴う。
(イ) 確信をもっていう。きっと。かならず。
源氏(1001‐14頃)行幸「尋ね得たまへらむはじめをおもふに、さためて心清う、見放ち給はじ」
(ロ) 確信性が薄い。おそらく。たぶん。
※虎明本狂言・入間川(室町末‐近世初)「仰のことく、お国もとでは、定てお待かねなされまらせう」
② 下に推量の表現を伴わない。きっと。
捷解新語(1676)一「ひるすぎよりあめがそそけて、かぜがわろう御ざたが、さためて御くらうにわたらしられてこそ御ざれ」

さだまり‐て【定て】

〘副〙 (動詞「さだまる(定)」の連用形助詞「て」の付いてできたもの) きっと。必ず。まちがいなく。
たまきはる(1219)「さだまりて、八月十日ころに、御壺前栽御随身ももて参りて植ゑしが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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