客神(読み)キャクジン

デジタル大辞泉 「客神」の意味・読み・例文・類語

きゃく‐じん【客神】

まろうどがみ(客神)」に同じ。

まろうど‐がみ〔まらうど‐〕【客神/人神】

他の地域から来訪し、その土地信仰されるようになった神。きゃくじん。

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精選版 日本国語大辞典 「客神」の意味・読み・例文・類語

まろうど‐がみ まらうど‥【客神】

〘名〙
外国からはいって来た神。外国渡来の神。
神社入口などに小祠を設けてまつる神。

きゃく‐じん【客神】

〘名〙 主祭神に対して他から迎えた神。また、元からあった土地の神に代わってまつられるようになった神。外来神に新しい威力があるという信仰から、蕃神流人旅人などの霊をまつった例が多い。まろうどがみ。

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改訂新版 世界大百科事典 「客神」の意味・わかりやすい解説

客神/客人神 (まろうどがみ)

神社の主神に対して,ほぼ対等か,やや低い地位にあり,しかしまだ完全に従属はしていないという,あいまいな関係にある神格で,その土地に定着してから,比較的時間の浅い段階の状況を示している。ふつう神社の境内にまつられている境内社には,摂社(せつしや)と末社(まつしや)とがある。摂社には,主神と縁故関係が深い神がまつられており,末社は,主神に従属する小祠である場合が多い。客神の場合は,この両者とも異なり,主神のまつられている拝殿一隅にまつられたり,〈門(かど)客神〉と称され随神のような所にまつられ,まだ独立の祠をもっていないことが特徴である。東北・関東の〈荒脛巾(あらはばき)神〉,南九州の〈門守(かどもり)神〉などはその一例だが,なかには普通の境内社より大きな一社を別個にたててまつる例もある。客神はちょうど人間社会における客人の扱いと同じで,外界からきた来訪神(らいほうしん)を,土地の神が招き入れて,丁重にもてなしている形である。客神が,けっして排除されることがないのは,外から来た神が霊力をもち,土地の氏神の力をいっそう強化してくれるという信仰があったためと考えられている。氷川神社の門客神神社,気比神宮の角鹿(つぬが)社,厳島神社の客神社,美保神社の客人神社などは,有名な大社にまつられた客神の代表例である。
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百科事典マイペディア 「客神」の意味・わかりやすい解説

客神【まろうどがみ】

客人神とも書く。主祭神に対する客分の神。日本では縁故または従属の神を喜んで勧請する風があり,その場合,相殿(あいどの)にするほど主祭神と親密でなく,境内社にしては失礼になる神は,客神として拝殿の一隅や門にまつった。東北,関東の荒脛巾(あらはばき),南九州の門守(かどもり)神はその例。境内社より大きく一社を構える例もあった。

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世界大百科事典(旧版)内の客神の言及

【范縝】より

…中国の南朝時代,5~6世紀に生きた思想家。生没年不詳。南郷舞陰(河南省)の人。字は子真。仏教が説く因果の有無をめぐって南斉の竟陵王蕭子良(しようしりよう)と議論した際,《神滅論》を発表。肉体の消滅とともに霊魂も消滅すると説き,因果をになう主体となるべき死後の霊魂の存在を否定した。その後,崇仏皇帝の梁の武帝は僧侶や士大夫を動員して《神滅論》の総攻撃を行わせたが,現代中国においては唯物主義的無神論思想としてきわめて評価が高い。…

※「客神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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