宮城まり子(読み)ミヤギマリコ

デジタル大辞泉 「宮城まり子」の意味・読み・例文・類語

みやぎ‐まりこ【宮城まり子】

[1927~2020]歌手女優東京の生まれ。本名本目ほんめ真理子。歌手としては「ガード下靴みがき」などのヒット曲があり、女優としても映画舞台などで幅広く活躍した。昭和43年(1968)には、日本最初肢体不自由児のための養護施設「ねむの木学園」を創立。その後も長年にわたり、教育や福祉活動に尽力した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮城まり子」の意味・わかりやすい解説

宮城まり子
みやぎまりこ
(1927―2020)

女優、映画監督、ねむの木養護学校校長。東京生まれ。本名本目(ほんめ)真理子。旅回りの歌手などを経て1952年(昭和27)ビクター入社。『毒消しゃいらんかね』『ガード下の靴みがき』などでヒット。映画・舞台に活躍し、自作の劇化『まり子自叙伝』で好評を博す。芝居のなかで肢体不自由児役を演ずるため病院や施設を訪れたことがきっかけで、1968年に独力でその養護施設「ねむの木学園」を静岡県小笠(おがさ)郡浜岡町(現、御前崎(おまえざき)市)に創設(1979年学校法人化)。その子供たちの生活記録を自ら監督した『ねむの木の詩(うた)』(1974)は第6回国際赤十字映画祭で銀賞を受けるなど、内外に大きな反響をよんだ。子供たちの成長とともに『ねむの木の詩がきこえる』(1977)、『虹(にじ)をかける子どもたち』(1980)、『ハロー!キッズ がんばれ子どもたち』(1986)と映画製作が続けられ、1997年(平成9)静岡県掛川市上垂木(かみだるき)に構想20年の福祉の里・ねむの木村が完成した。

[畑 暉男]

資料 監督作品一覧

ねむの木の詩(1974)
ねむの木の詩がきこえる(1977)
虹をかける子どもたち(1980)
ハローキッズ! がんばれ子どもたち(1986)

『宮城まり子著『ねむの木の子どもたち』正続(講談社文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮城まり子」の意味・わかりやすい解説

宮城まり子
みやぎまりこ

[生]1927.3.21. 東京,蒲田
[没]2020.3.21. 東京
女優,社会福祉事業家。本名本目眞理子。少女時代に大阪に移り住み,家計を支えるため小学校卒業と同時に吉本興業に入る。17歳で歌手として初舞台に立ち,1950年映画デビュー。1955年『ガード下の靴みがき』がヒットし,人気歌手となった。1958年の芸術座公演『まり子自叙伝』(菊田一夫作)以降は,舞台,映画,テレビで女優として活躍した。その一方で,1968年に肢体不自由児の養護施設「ねむの木学園」を静岡県浜岡町(現御前崎市)に私財を投じて設立,園長に就任した。1974年同学園の子らと保育士たちの生活を記録した映画『ねむの木の詩』を自主制作,のちに続編 2作を加え,各種の賞を受賞した。1979年学園を「ねむの木養護学校」(1997静岡県掛川市に移転。2007「特別支援学校ねむの木」に名称変更)に改組,校長に就任した。吉川英治文化賞(1973),総理大臣表彰(1979),ペスタロッチ教育賞(1992)など受賞多数。2012年瑞宝小綬章受章。作家の吉行淳之介と長年同居し,事実上の伴侶であった。

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知恵蔵mini 「宮城まり子」の解説

宮城まり子

俳優、歌手。1927年、東京都生まれ。日劇などの舞台で活躍し、20代で歌手デビュー。55年に発表した「ガード下の靴みがき」が大ヒットとなる。58年に出演した舞台「12月のあいつ」で芸術祭賞を受賞。また同年には、日本初のカラー長編アニメーション映画「白蛇伝」で声優を務めた。その後、重度障害児の教育問題への関心を深め、68年に私財を投じて肢体不自由児のための養護施設「ねむの木学園」を創設した。当時は重度の障害がある子どもたちが義務教育を受けられなかったこともあり、福祉と教育の一体化を目指して施設内に公立学校の「分校」も設けた。79年には「ねむの木養護学校」の小学部と中学部を、82年には高等部を開校。子どもたちの歌唱や絵画などの作品をCDや展覧会などで発表したり、学園の活動を紹介するドキュメンタリー映画を制作したりするなど、重度障害児への社会の理解を深める活動にも精力的に従事した。2020年3月21日に93歳で死去した。

(2020-3-26)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宮城まり子」の解説

宮城まり子 みやぎ-まりこ

1927- 昭和-平成時代の歌手,女優。
昭和2年3月21日生まれ。戦前から少女歌手として活躍。昭和30年「ガード下の靴みがき」がヒットして人気をえる。ミュージカル,映画,テレビで活躍。43年私費で静岡県に肢体不自由児の養護施設ねむの木学園を開設,「ねむの木の詩」などの記録映画を製作・監督。48年吉川英治文化賞。平成3年エイボン女性大賞。16年東京都名誉都民。東京出身。本名は本目(ほんめ)真理子。

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世界大百科事典(旧版)内の宮城まり子の言及

【軽演劇】より

…一方,劇場では55年に入って,ドイツ文学者でまたコント作家でもあった秦豊吉(1892‐1956)が実現した〈帝劇ミュージカルス〉によって,戦前の〈東宝劇団〉〈ロッパ一座〉,戦後の〈ムーラン・ルージュ〉などの長い下積みを経た森繁久弥が脚光を浴びた。56年にはさらに東京宝塚(東宝)劇場が,占領軍の接収解除によって活動を再開,東宝重役となった菊田一夫によって大劇場形式のミュージカルが提唱され,エノケン,ロッパ,トニー谷(1917‐87),三木のり平(1923‐ ),有島一郎,越路吹雪(1924‐80),宮城まり子(1929‐ )ら,戦前派・戦後派のタレントが活躍の場を得た。だが,オールスターキャスト型のこうした舞台は,かつての軽演劇のニュアンスからは,程遠いものとなった。…

※「宮城まり子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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