家計(読み)カケイ(英語表記)household

翻訳|household

デジタル大辞泉 「家計」の意味・読み・例文・類語

か‐けい【家計】

家族が暮らしていくうえでの、収入と支出の状態。家族が暮らしていくための費用。一家の生計。「家計を預かる」「家計のやりくり」
[類語]経済やりくり収支内証台所勝手向き手許てもと

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精選版 日本国語大辞典 「家計」の意味・読み・例文・類語

か‐けい【家計】

〘名〙 一家の暮らし向き。一家の生活を維持する経済。一家の収入や支出をもととして、日常生活を適当に処理すること。生計。〔色葉字類抄(1177‐81)〕〔晉書‐甘卓伝〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「家計」の意味・わかりやすい解説

家計
かけい
household

企業や政府と並んで、国民経済を構成する経済主体家庭生活を営むための収入、支出の運営そのものもさす。家計の動向については、国民経済計算内閣府)、家計調査および家計消費状況調査(総務省統計局)によって示されている。

 住民基本台帳(総務省)によれば、2020年(令和2)1月1日時点では、5907万1519世帯が存在しており、1世帯当りの構成人員は2.15人である。

 家計に関する統計で注目度が高いのは貯蓄率であるが、国民経済計算ベースでは1990年代以降、下落傾向にあり、2013年度にはマイナスに転じた。一方、家計調査ベースでは1990年代以降も横ばいで推移している。両者の動きの違いを生んでいるのは、(1)定義概念の違い、(2)カバーしている家計の範囲、である。定義に関して両者は一見似ている。国民経済計算は可処分所得と年金受給権の変動調整の合計から最終消費支出を引いたものを貯蓄額としている。そして、可処分所得と年金受給権の変動調整の合計に対する貯蓄の割合を貯蓄率としている。家計調査では可処分所得から消費支出を差し引いた額(黒字)の可処分所得に対する割合で求めている(黒字率とよばれる)。ただし、たとえば、住宅ローンの返済額は国民経済計算では貯蓄額に含まれないが、家計調査では黒字額に含まれている(土地家屋借入金返済額とよばれる)という違いがある。

 カバーしている家計の範囲に関しては、国民経済計算は全世帯を対象にしているのに対し、家計調査ベースでの黒字率としてよく取り上げられるのは「2人以上の世帯のうち勤労者世帯」のみを対象としているという違いがある。なお、家計調査では高齢者無職世帯の貯蓄率も別途公表されているが、貯蓄率はマイナスとなっている。つまり、この世帯では消費支出が可処分所得を上回り、貯蓄を取り崩しているのである。すなわち、高齢化が進むなかで、全世帯に占める高齢者無職世帯の比率が高まっていることが、国民経済計算と家計調査の貯蓄率の動きの違いを生んでいると考えられる。

[飯塚信夫 2020年9月17日]

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百科事典マイペディア 「家計」の意味・わかりやすい解説

家計【かけい】

家庭生活を営むための収入と支出の運営を家計という。国民経済は無数の経済主体から成っており,これを経済活動の性質から分類すると政府,企業,家計の3種になる。政府,企業とともに家計は重要な経済主体をなす。その支出は,実支出(生活費,税金等)と実支出外支出(貯蓄等)に分かれ,世帯員の欲望に応じて行われ,労働力の再生産,子女の育成の機能を果たす。収入は,実収入(賃金,自営業所得)と実収入外収入(借金,贈与,貯蓄引出し等)に分かれ,長期的には実収入が支出構造を規定する。支出構造から生活水準を測定するためにエンゲル係数シュワーベの法則が用いられる。また家計水準は消費性向貯蓄性向と相関関係をもつ。→家計調査

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改訂新版 世界大百科事典 「家計」の意味・わかりやすい解説

家計 (かけい)
household

みずからの意思に基づいて経済活動を行う単位を経済主体economic unitと呼び,その役割や機能に応じて,家計(あるいは消費者),企業(あるいは生産者),政府の3種類に区別する。家計は,所有する労働・土地等の生産要素を市場に供給し,そこで得られた所得で種々の消費財を需要する経済主体である。経済学では,家計は限られた所得の範囲内で自己の効用(あるいは満足)を最大にするように財の需要を決定するという合理的行動を行うもの,と想定している。他方,企業は,保有する生産技術のもとで,自己の利潤を最大にするように生産要素の需要と財の生産・供給を行う,と想定されている。
消費・家計統計
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普及版 字通 「家計」の読み・字形・画数・意味

【家計】かけい

くらし。生計。〔三国志、魏、夏侯玄伝、注に引く魏略〕(李)豐、後仕へて二(へ)たるも、家計を以てと爲さず、俸廩を仰ぐのみ。

字通「家」の項目を見る

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知恵蔵 「家計」の解説

家計

家計とは、家庭経済の一部で、主に金銭を介した活動。経済主体としての家計は企業に対しては市場での消費、貯蓄、労働などの取引を行い、政府に対しては税金や社会保険料を負担して社会保障給付や公共サービスなどの給付を受ける。家計費とは、家計が貨幣を介して企業や政府など他の経済主体と取引した結果を、貨幣量で示したもの。

(上村協子 東京家政学院大学教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家計」の意味・わかりやすい解説

家計
かけい

家庭の生活設計に従って行われる経済活動。また,その経済活動の結果を貨幣面からとらえたもの。 (→家庭経済 )  

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栄養・生化学辞典 「家計」の解説

家計

 一家庭の財産,収入,支出などの総体.特に収入と支出についていう場合が多い.

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世界大百科事典(旧版)内の家計の言及

【世帯】より

…日常の住居と生計をともにする生活集団のことで,〈しょたい〉と読むこともある。同一の世帯に所属する者は世帯員であり,世帯を主宰する地位にある世帯員を世帯主と呼ぶ。世帯主は,明治民法における戸主のように世帯員に対して法律上の統制力を有する者ではなく,現在の社会通念上,単にその世帯を代表する者として認められるにすぎない。世帯は通常,家族関係を中心に形成されるが,世帯員がすべて家族員から構成されるとは限らない。…

【エンゲル法則】より

…家計の消費支出に占める食費の割合と所得水準との間で安定的に観測される経験法則をいう。その法則の発見者C.L.E.エンゲルの名にちなんでこう呼ばれる。…

【価格】より

…この点を少し詳しくみておこう。
[家計と企業]
 ここで対象とする社会の経済的意思決定主体は家計と企業に大別される。家計は,消費に関する意思決定の主体であると同時に,労働力,資本,土地という生産要素の所有者として,それら生産要素のサービス(以下では単に生産要素と略記)をどれだけ供給すべきかを決定する主体でもある。…

【企業】より

…生産活動を継続して営む経済単位を企業という。国民経済は,この企業とともに家計・財政という個別経済によって構成されている。家計は消費生活を営む経済単位であり,財政は行政目的を実現するために消費活動を営む経済単位である(図1)。…

※「家計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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