容量分析(読み)ようりょうぶんせき(英語表記)volumetric analysis
volumetry

精選版 日本国語大辞典 「容量分析」の意味・読み・例文・類語

ようりょう‐ぶんせき ヨウリャウ‥【容量分析】

〘名〙 定量分析一つ濃度のわかっている試薬溶液を試料の溶液に加えて反応させ、使った試薬の体積から理論計算を用いて定量する方法中和滴定沈殿滴定・光度滴定電位差滴定などがある。滴定分析とも。〔稿本化学語彙(1900)〕

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デジタル大辞泉 「容量分析」の意味・読み・例文・類語

ようりょう‐ぶんせき〔ヨウリヤウ‐〕【容量分析】

定量分析の一。溶液の体積を測定することによって定量を行う方法。ふつうは滴定分析をいい、試料溶液を濃度のわかっている標準液で滴定し、反応の終点まで加えた標準液の量から試料の量を知る。

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改訂新版 世界大百科事典 「容量分析」の意味・わかりやすい解説

容量分析 (ようりょうぶんせき)
volumetric analysis
volumetry

測容器により体積を測定し,物質の量を求める方法。気体の体積を測定する場合もあるが,多くの場合は滴定と同じ意味に用いられている。滴定法は1855年ころにモールKarl Friedrich Mohr(1806-79)により系統化された。中和滴定,沈殿滴定,酸化・還元滴定錯滴定などがある。1946年ころにシュワルツェンバハGerold Schwarzenbach(1904-78)によりキレート滴定法が開発されて金属イオンの定量が可能になり,広く応用面が開かれた。容量分析では,濃度が定められている標準溶液を用いて,定量すべき化学種を含む溶液の一定量にこの標準溶液を加え,反応の完了した当量点を適当な方法で判定して,反応に要した標準溶液の体積から目的の化学種の量を定める。反応速度の遅い反応を利用する場合には逆滴定back titrationを利用する。当量点の判定には通常指示薬を用いて肉眼的に判定する。滴定の終点と理論的当量点は一致しないが,誤差の範囲で一致させることができる。終点の判定に光の吸収,電気伝導度,熱などを利用することもできる。滴定に用いられる測容器にはホールピペットメスフラスコ,ビュレットなどがあり,精度の同じ測容器を組み合わせて利用する。精度を要するときには,試薬のみで試料を含まない操作を行う。これを空試験blank testといい,これにより実験値を補正する。微量分析用には対応する装置がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「容量分析」の意味・わかりやすい解説

容量分析
ようりょうぶんせき
volumetric analysis

定量分析の一種で、物質の体積を測定することによって定量を行う方法の総称である。溶液の反応体積を測定する滴定法と、ガスの体積を測定するガス容量分析法が含まれるが、一般には滴定法だけを容量分析ということが多い。滴定法は、試料溶液の一定体積中に存在する求める物質の全量を、それと定量的に反応するのに必要な既知濃度の標準液の体積を測定して知る方法である。未知試料を標準液で直接滴定する方法を直接滴定、未知試料に一定過剰量の標準液を加え、その過剰量を別の標準液で滴定する方法を逆滴定という。反応の終点は指示薬や電気化学的、光学的方法によって求める。滴定に使われる測容器であるメスフラスコ、ビュレット、ピペットなどは正確に検度されたものでなければならない。

 ガス容量分析法は、固体または液体試料にそれと反応する適当な試薬を加え、化学反応によって生成するガスの体積を測定して試料中の成分を定量する方法である。

 容量分析は操作が簡単で、精度も高く、化学量論に基礎を置くもう一つの定量法である重量分析法とともに広く用いられている方法である。

[高田健夫]

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百科事典マイペディア 「容量分析」の意味・わかりやすい解説

容量分析【ようりょうぶんせき】

定量分析の一つ。試料溶液の一定量に,適当な試薬の既知濃度溶液を反応させ,反応に要した試薬溶液の量および濃度から試料成分の量を決定する。重量分析に比べ操作が簡易迅速なため工業分析をはじめ広く利用される。中和滴定,沈殿滴定,酸化還元滴定などの各種滴定法が行われる。→滴定
→関連項目高周波滴定

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「容量分析」の意味・わかりやすい解説

容量分析
ようりょうぶんせき
volumetric analysis

定量化学分析法の1つ。滴定ということもある。いま定量しようとする試料物質と,ある試薬がすみやかに,かつ化学量論的に反応し,反応が完結する場合には,この試薬の既知濃度溶液を用いて試料物質を滴定し,滴定に要する試薬溶液の体積を測定することによって試料物質の量を求めることができる。この原理により行われる定量分析を容量分析という。反応の終点は簡単には指示薬を用いて検知できることが多い。中和滴定,沈殿滴定,酸化還元滴定,キレート滴定などがあり,操作が簡単で,迅速であり,しかも高い精度の定量ができるので,現在最も広く使われている主成分分析法の1つである。容量分析を自動化した自動滴定装置が実用化されている。

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化学辞典 第2版 「容量分析」の解説

容量分析
ヨウリョウブンセキ
volumetric analysis

一般に,求める成分と化学反応する標準液を用いて滴定し,その成分と標準液の体積から,求める成分を定量する化学分析.取り扱う化学反応,標準液の種類により,酸塩基滴定酸化還元滴定キレート滴定沈殿滴定過マンガン酸塩滴定などに分類される.当量点の決定には,一般に指示薬が用いられるが,電気的な終点決定法も用いられる.

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栄養・生化学辞典 「容量分析」の解説

容量分析

 滴定によって物質を定量する方法.

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