富岡(熊本県)(読み)とみおか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「富岡(熊本県)」の意味・わかりやすい解説

富岡(熊本県)
とみおか

熊本県南西部、天草下島(あまくさしもしま)北西端に位置する天草苓北町(れいほくまち)の中心地区。旧富岡町。1604年(慶長9)陸繋島(りくけいとう)の中央に富岡城が築かれてより、漁村の袋(ふくろ)の浦は富岡と称されるようになり、1873年(明治6)郡会所が町山口村(現、天草市)に移転するまで、天草統治の中心をなした。天然の要害を利用した富岡城は、天草・島原の乱でも農民の攻撃に耐えたが、1670年(寛文10)の富岡藩主戸田忠昌(ただあき)の幕府への建議「天草は永久に天領たるべきの地」によって簡単に破城となった。しかし、代官役所で継承された中心性は、今日でも局地中心として、主として交通面で生きている。曲崎(まがりさき)(約1.5キロメートルの砂州(さす))にほぼ囲まれた天然の良港である富岡港はかつては石炭積出し港として、現在では陶石積出し港として栄えており、国道324号、389号もこの港から出る1日4往復のフェリーで茂木(もぎ)港(長崎県)と結び付いている。また港内にはハマジンチョウ群落、九州大学臨海実験所、さらに付近にはキャンプ場海水浴場海域公園文学詩碑、吉利支丹供養碑(キリシタンくようひ)(国指定史跡)などもあり、観光・保養地的性格も強めてきている。

[山口守人]


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