小学(中国古典語学)(読み)しょうがく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小学(中国古典語学)」の意味・わかりやすい解説

小学(中国古典語学)
しょうがく

漢字の3属性――形象(形)・音韻(おんいん)(音)・訓詁(くんこ)(義)の書籍およびその研究(中国古典語学)をさす旧称の雅語。中国古代、国子(こくし)(支配階層の子弟)は、8歳で小学に入り六芸(りくげい)の教課(礼楽射御書数)を学び、うち「書」(六書)は文字に関する課目とされた(『周礼(しゅらい)』)。漢代、官吏の採用に書計(諸体の文字と算数)を課し、学童は必要な文字を韻文に編んだ簡冊(かんさく)で暗唱した。この教課用字書『蒼頡篇(そうけつへん)』『急就篇(きゅうしゅうへん)』などが「小学」と総称された(『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)「六芸略」)。以後、漢字の訓詁・音韻の書が小学の中心を占め、宋明(そうみん)期には範囲を広げて金石・書法や児童教本(テキスト)『蒙求(もうぎゅう)』なども含まれた。清(しん)代の漢学(考証学)興隆により、経部・小学類(「四庫全書」)では、『爾雅(じが)』(訓詁)、『説文(せつもん)解字』(字書)、『広韻(こういん)』(韻書)の3類に絞った体例をたて、漢語文字研究の固有の分野に限定された。

[戸川芳郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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