小学校休業等対応助成金・支援金(読み)しょうがっこうきゅうぎょうとうたいおうじょせいきんしえんきん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

小学校休業等対応助成金・支援金
しょうがっこうきゅうぎょうとうたいおうじょせいきんしえんきん

新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行により、子どもの世話のために仕事を休まざるを得なくなった人に対して支給されていた国の助成・支援金。臨時休校や子どもの感染時に、働く保護者が休みをとりやすくして、子育て世帯の家計を下支えしながら感染拡大を防ぐねらいがあった。企業などの従業員に支給する助成金制度と、フリーランスなど個人で仕事をする人を対象とした支援金制度の2種類がある。企業などの従業員向けは、国が賃金相当分(支給上限は2020年3月末までに休んだ場合1日8330円、同年4月以降は1万5000円)を雇用主に助成し、従業員は賃金全額の支給を受けられた。フリーランス向けは、2020年(令和2)3月末までが1日4100円、同年4月以降は7500円を支援。対象は小学校、幼稚園、保育施設(認可外を含む)などが臨時休校となった場合のほか、認定こども園、放課後児童クラブ放課後デイサービスなどが利用自粛となった場合、新型コロナウイルス感染症に感染あるいは濃厚接触者となった場合など。障害のある子どもの場合は中学、高校、各種学校生も対象とした。親権者のほか、祖父母も利用できた。2020年2月27日から2023年3月末までに休暇(半日・時間単位を含む)を取得した場合、助成・支援を受けられた。

 企業などは、年次有給休暇とは別のコロナ特別休暇制度を新設し、従業員の年次有給休暇の有無にかかわらず、仕事を休んだ場合、年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払った。緊急措置なので、就業規則が未整備でも企業は新制度を創設できた。国は賃金相当分を助成し、助成金申請は企業が行った。なお、フリーランスなど個人で仕事をする人の場合、個人で申告する必要があり、発注元と結んだ契約書(口頭契約の場合、厚生労働省指定書式書面を提出)などで、仕事内容、日時、報酬算定方法を明示する必要があった。

 しかし、申請件数の減少、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけ変更(2類から5類感染症に移行、2023年5月)などを踏まえ、小学校休業等対応助成金・支援金の申請受付を2023年3月末に終了した。終了時までの助成金の支給決定件数は約45万件、総額は約950億円、フリーランスなどが対象の支援金は約4万件、60億円以上に上った。4月以降は両立支援等助成金の特例での対応に切り替えられ、企業にはテレワークや短時間勤務など、従業員が働き続けられる制度の導入を条件に、それでも休業せざるを得ない雇用保険被保険者を対象に1人当り10万円、1事業主当り100万円を上限に補填(ほてん)されることになった。

[矢野 武 2023年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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