小林(市)(読み)こばやし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小林(市)」の意味・わかりやすい解説

小林(市)
こばやし

宮崎県南西部にある市。1950年(昭和25)市制施行。2006年(平成18)西諸県(にしもろかた)郡須木(すき)村を合併し、2010年同郡野尻(のじり)町を編入。市名は近世小林村を含む12村を小林郷(ごう)と称したことによる。北から東は九州山地、南は夷守(ひなもり)岳、韓国(からくに)岳、新燃(しんもえ)岳、高千穂峰(たかちほのみね)がそびえる。北東部は大淀(おおよど)川の支流綾北(あやきた)川や綾南川の源流地帯。市街地は小林盆地に位置し、同盆地は西部はえびの盆地と、南東部は野尻盆地と丘陵で境を接する。市域シラス台地が広く分布し、岩瀬(いわせ)川(大淀川支流)およびその支流、石氷(いしごおり)川、辻ノ堂(つじのどう)川がこれを開析する。JR吉都(きっと)線、国道221号、265号、268号が通じ、えびのジャンクション(えびの市)で九州自動車道から分岐した宮崎自動車道が市域を横断し、宮崎市に至る。古くは夷守とよばれる辺境守備の地で、中世は島津荘真幸院(しまづのしょうまさきいん)に属した。近世は薩摩藩(さつまはん)領の要地として地頭が置かれた。シラス台地上は霧島火山灰に覆われ、畑作牧畜が中心的産業である。とくに乳牛、肉用牛の飼育頭数は県内の上位に位置し、夷守岳東麓(とうろく)には家畜改良センター宮崎牧場がある。メロン、シイタケ栽培なども盛ん。霧島観光の宮崎県側入口にあたり、県道が標高1200メートルのえびの高原に通じている。花の名所生駒(いこま)高原や夷守台、コイ、ニジマス料理で知られ、淡水魚水族館のある出(いで)の山(やま)公園などもある。面積562.95平方キロメートル(一部境界未定)、人口4万3670(2020)。

[横山淳一]

『『小林郷土史群書類聚1~3』(1950~1951・小林市)』『『小林市史1・2・3巻』(1965、1966、2000・小林市)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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