朝日日本歴史人物事典 「小西新右衛門(10代)」の解説
小西新右衛門(10代)
生年:文政7(1824)
幕末維新期の酒造業者。伊丹(兵庫県)の「白雪」醸造元小西家10代。名は業広。小西家の江戸積酒造業の始まりは慶長年間(1596~1615)と伝承されているが,寛文11(1671)年には薬屋新右衛門の名が史料で確認できる。薬屋から小西姓を名乗るのが享保期で6代新右衛門のときである。伊丹で江戸積酒造業を拡大してゆく一方,江戸出店を独立させて下り酒問屋を開業,さらに大坂安治川に樽廻船問屋を開業して樽廻船数艘を所有するなど,下り酒の生産から輸送・販売にいたるまで流通機構を一族で独占して繁栄した。 10代新右衛門は領主近衛家の庇護のもとに町の総宿老として町政にも参与し,維新政府となるや会計基立金の調達に応じ,会計裁判所御用掛,商法司酒造取締,通商為替会社総取締などの公職につき,他方伊丹小学校創設にも私財を投じた。
(柚木学)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報