小説[中国](読み)しょうせつ[ちゅうごく](英語表記)Xiao-shuo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小説[中国]」の意味・わかりやすい解説

小説[中国]
しょうせつ[ちゅうごく]
Xiao-shuo

中国文学にあっては小説は戯曲とともに賤民的な存在であり,伝統的な観念では「文学」以外のものとさえ考えられていた。文体のうえからは,中国の小説は文語 (文言) と口語 (白話) とに分れる。発生は文語小説が古く,六朝時代には「志怪」と呼ばれる短い怪談風の物語が流行し,それが中唐以降やや筋の展開をもつ作品に成長して「伝奇」と呼ばれた。一方宋代以後,庶民の新しい娯楽として講談が生れ,それが読み物として書き記されるようになったのが口語小説の起りで,明,清を通じて『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』『紅楼夢』『儒林外史』などの傑作を生んだ。清朝が倒れ民国となると,西欧的な文学観による「文学革命」が起り,魯迅の『狂人日記』をはじめ近代的な小説が生れはじめた。さらに毛沢東の『文芸講話』が発表されて小説もまたその方向へ進むこととなった。

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