精選版 日本国語大辞典 「小野」の意味・読み・例文・類語
お‐の を‥【小野】
おの をの【小野】
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現
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
地名。〈小野〉という地名は全国に散在している。それは元来普通名詞〈野〉に接頭語〈小〉がついたもので,野と同義であったが,やがて固有名詞に転じて定着したものと考えられる。そのほか,古代の小野氏の占有地をも〈小野〉と称した。《万葉集》にあらわれる〈小野〉をすべて普通名詞とする説もあるが,これは疑問と言うべきで,判別しがたいものがある。固有名詞として文学上顕著な小野に,山城国の2ヵ所がある。
(1)《和名抄》に記す山城国愛宕(おたぎ)郡の小野郷は現在の京都市左京区上高野,修学院,一乗寺とその付近の地域である。上高野崇道神社境内の古墓から小野毛人(えみし)(遣唐使の妹子の子)の墓誌が出現したことなどから,この付近が古代の小野氏の本拠であったと考えられる。修学院にある赤山(せきざん)禅院は,慈覚大師円仁が泰山府君を勧請した社で,延暦寺別院である。もと南淵年名の小野山荘のあとで,一乗寺から比叡山の登山道〈雲母坂(きららざか)〉があり,この付近を西坂本と称し,軍記物語などにしばしばあらわれる。また,《源氏物語》では,柏木に死別した落葉宮が幽棲した所として〈夕霧〉巻に華麗に描かれ,山荘を訪れた夕霧大将の歌に〈里遠み小野の篠原分けてきて我もしかこそ声も惜しまね〉がある。同書〈手習〉巻では横河(よかわ)僧都の住居をここにあったとし,入水した浮舟が介抱されたとしている。《伊勢物語》ではこの小野を惟喬(これたか)親王の隠棲の地とするが詳細は不明である。
(2)《和名抄》に記す宇治郡の小野郷は現在の京都市山科区小野である。平安時代,僧仁海が小野曼荼羅寺をおこし,真言密教の小野流の本拠となった。後の随心院である。随心院は小野小町宅跡の伝承があり謡曲《通小町(かよいこまち)》《卒都婆小町》には,深草少将が墨染から百夜(ももよ)通った,という説話がある。境内には小野小町文塚と称するもの,その他がある。
執筆者:奥村 恒哉
兵庫県の南部,加古川の中流に位置する市。1954年小野町ほか河合,来住(きし),市場,大部,下東条の5村が合体,市制。人口4万9680(2010)。江戸時代には一柳氏1万石の陣屋の所在地であった。1952年に神戸電鉄粟生線が開通するまでは交通の便に恵まれず,農村的色彩の強い伝統的特産工業の町として存続した。代表的製品は16世紀末に大津から技術を習得して始められた播州そろばんと,江戸時代に始まったはさみ,鎌など家庭刃物で生産額はいずれも全国一。ほかに播州織や釣針の生産も行われる。近年はそろばんの需要は減ったが,1955年ころから木珠(もくじゆ)のれんへ転換し,70年ころからは小物家具の分野へも進出している。隣接の三木市や加古川上流の西脇市とともに伝統的工芸品を中心とする典型的地場産業都市となっているが,現在でも家内工業的経営が主流である。市内の来住の鴨池はシベリアからのカモの飛来地として著名。浄谷(きよたに)に浄土寺がある。JR加古川線が通じる。
執筆者:小森 星児
福島県東部,田村郡の町。人口1万1202(2010)。夏井川上流域を占め,阿武隈高地の山々に囲まれる。中心の小野新町は浜通りと中通りを結ぶ交通の要地で,戦国期には新町城が置かれ,近世は磐城街道の宿場として栄えた。現在も旧田村郡南東部の中心地で,JR磐越東線が通じ,磐越自動車道小野インターチェンジがある。産業は近世に始められた葉タバコ栽培をはじめ,米作,酪農など農業が中心であり,たばこ祭の行われる小野たばこ神社がある。田村郡はかつては三春駒で知られる馬産地で東堂山満福寺の聖観音は馬産家の信仰を集めている。飯豊地区では黒御影石を特産する。小町,湯沢などの鉱泉があり,諏訪神社の翁杉(じじすぎ),媼杉(ばばすぎ)は天然記念物に指定されている。
執筆者:佐藤 裕治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
京都市東部、山科(やましな)区最南部の地区。南は伏見(ふしみ)区の醍醐(だいご)に接する。『和名抄(わみょうしょう)』に「小野郷」と記され、歌枕(うたまくら)の「をのの里」にあたるといわれる。山科川に沿って大津街道が通ずる。国の史跡としては、平安中期に仁海(にんかい)僧正が創建したと伝える曼荼羅寺(まんだらじ)の塔頭(たっちゅう)であった随心院(ずいしんいん)(真言宗善通寺派の門跡(もんぜき)寺)がある。本堂は桃山時代末期の再建。境内に小町(こまち)化粧井戸など小野小町宅跡という伝承があるが、小野の地名からのちに付会されたのであろう。随心院の西には900年(昌泰3)醍醐(だいご)天皇建立の勧修寺(かじゅうじ)がある。国の重要文化財の書院は江戸初期の建造で、回遊式の名園を有する。寺の北西を名神高速道路が走る。また、市営地下鉄東西線小野駅がある。
[織田武雄]
《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...
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