普及版 字通 「尤(漢字)」の読み・字形・画数・意味
尤
人名用漢字 4画
[字訓] とが・ことなる・もっとも・はなはだ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
呪霊をもつ獣の形。その呪霊によって、人に尤禍をもたらすことができた。〔説文〕十四下に「異なるなり。乙に從ひ、(いう)聲」とするが、祟(すい)と同じく、呪儀に用いる獣の象形。求もそのような呪獣の形で、それを殴(う)つ共感呪術は救、その法は(術)、また祟を殴つ字は(殺)で、減殺(げんさい)、他からの禍殃を減殺する意である。卜辞に「尤(あ)るか」のように尤禍の意に用いる。その呪霊は畏るべきものであるから尤異の意となり、尤甚の意となる。
[訓義]
1. とが、とがめ、わざわい、つみ。
2. ことなる、あやしい、かけはなれる、すぐれる。
3. もっとも、はなはだ、とりわけ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕尤 モトモ・ハナハダ・トガム・ケヤケシ・アヤマチ・トガ・ケシウアリ 〔字鏡集〕尤 トモ・トガ・アタ・タヅヌ・スグル・アヤマツ・ケヤケシ・コトナリ・モトモ・トガム・ハナハダ・ケシウシテ・タガフ・セム・モノホシ・コトナリ
[声系]
〔説文〕に尤声として・肬など五字を収める。は〔説文〕三上に「罪なり」とあり、尤の繁文とみてよい。
[語系]
尤hiuは(又)・右・佑・(祐)・(有)hiuと同声。尤は災禍をもたらし、はこれを救助する意で、同声にして正反両系の語があったものと思われる。郵hiuは尤と同声で、尤の意に用いることがあり、また憂・iuも同系の語であろう。
[熟語]
尤異▶・尤違▶・尤佚▶・尤悪▶・尤禍▶・尤悔▶・尤▶・尤隙▶・尤愆▶・尤功▶・尤詬▶・尤最▶・尤者▶・尤著▶・尤物▶・尤謗▶・尤戻▶
[下接語]
怨尤・衍尤・過尤・寡尤・悔尤・尤・譴尤・効尤・殊尤・多尤・大尤・致尤・尤・無尤・羅尤
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報