尸(漢字)

普及版 字通 「尸(漢字)」の読み・字形・画数・意味


3画

[字音]
[字訓] しかばね・かたしろ・つかさどる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
屍体のたわる形。屍の初文。屍は尸と死とを合わせた字。〔説文〕八上に「陳(つら)ぬるなり。臥する形に象る」という。尸陳は後起の義。〔論語、郷党〕に「寢(い)ぬるに尸せず」というように、偃臥するとき、その姿勢を避けるべきものとされた。祭祀のとき、かたしろとなることを尸主という。〔礼記、郊特牲〕に「尸は像なり」とあり、祖の尸主には孫が代わってつとめた。それで祭祀を司ることを「尸(つかさど)る」という。

[訓義]
1. しかばね、むくろ、なきがら。
2. かたしろ、尸主、いはい。
3. つかさどる、つかさ。
4. さらす、つらねる、陣する。
5. かたしろとして、その位にある。無為、おこたる、なまける、形だけで実がない。

[古辞書の訓]
名義抄〕尸 カバネ・カバネサラス・ツラヌ・ツカサドル・ノリヰル・アルジ・ノス 〔字鏡集〕尸 シカバネ・ツラヌ・ノリヰル・アルジ・ツカサドル・ムサフル・カバネ・ノブ・トシ・ノス

[部首]
〔説文〕に居・展・尼・屍・屋・(層)など二十二字と〔新附〕の、〔玉〕に屎・など十四字を加える。居は人の踞する形、展は死者の衣中に呪器として(てん)を塡塞(てんそく)する形。尸には人に従うものと屋形に従うものとがあり、などは屋形に従うとみるべきである。

[声系]
〔説文〕に尸声として屍・履など四字を収める。履を尸声とするのは音が合わず、履はかたしろや祭祀関係者の用いるものであろう。儀礼の際には貴紳(せき)を用いた。

[語系]
尸・屍sjieiは同声。死sieiと声が近い。死は残骨を拝する形で、複葬の形式を示す。伸sjien、展tianも声義に通ずるところがあり、尸とは伸展葬を示す字である。

[熟語]
尸位尸解尸骸尸諫・尸官尸玩尸柩・尸居・尸君・尸骨・尸山・尸車尸襲・尸祝尸臣・尸身・尸素・尸宅尸奪・尸虫尸媚尸盟・尸・尸利・尸霊・尸尸禄
[下接語]
飲尸・尸・献尸・公尸・坐尸・載尸・三尸・送尸・賓尸鞭尸輿尸・礼尸

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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