屈斜路湖(読み)くっしゃろこ

精選版 日本国語大辞典 「屈斜路湖」の意味・読み・例文・類語

くっしゃろ‐こ【屈斜路湖】

北海道東部、弟子屈(てしかが)町にある日本最大の火口原湖屈斜路カルデラの西部に水をたたえたもの。阿寒国立公園の一部。面積七九・四平方キロメートル。くっちゃろこ。

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デジタル大辞泉 「屈斜路湖」の意味・読み・例文・類語

くっしゃろ‐こ【屈斜路湖】

北海道東部、川上郡弟子屈てしかが町にあるカルデラ湖。南東から釧路くしろが流出する。面積79.7平方キロメートル、最大深度117.5メートル。湖岸から温泉がわく。
[補説]「くっしゃろ」は、喉口のどぐちの意のアイヌ語クッチャロ」に由来し、湖からの川の出口をさす。

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日本歴史地名大系 「屈斜路湖」の解説

屈斜路湖
くつしやろこ

弟子屈町にある湖で、クッチャロ湖ともいう。周囲約五八キロ、面積七九・三平方キロ、湖面の標高一二一メートル、最大深度一一七・五メートル。屈斜路カルデラの底に形成された。湖の周りには三段の湖岸段丘が発達し、三万年ほど前に湖が現在の形を呈するまでに三度にわたる浅化と縮小があったことを示す。湖の中央に二重式円錐形火山のなか(面積約五・七平方キロ)があり、南岸から和琴わこと半島が突出している。同じく南岸から尾札部おさつぺ川、北東岸から川、アメマス川などの小河川が流入し、南東岸から釧路川となって排水している。一月下旬から二月上旬にかけて結氷し、四月上旬に解氷する。南東岸のコタンに屈斜路コタン遺跡(縄文時代早期・前期・中期)がある。またアイヌ文化期のチャシが南西岸のウランコシ、釧路川右岸の丸山まるやま付近(丸山第一チャシ・丸山第二チャシ)にある。

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改訂新版 世界大百科事典 「屈斜路湖」の意味・わかりやすい解説

屈斜路湖 (くっしゃろこ)

北海道東部,釧路支庁弟子屈(てしかが)町にある湖。〈くっちゃろこ〉とも呼ぶ。東西26km,南北20kmのほぼ円形をなす世界有数の屈斜路カルデラの中にある。面積79.7km2,周囲57km,湖面標高121m,最大水深117.5m,透明度20m。湖底はほぼ平たんである。湖の中央に浮かぶ周囲約12kmの中島は,二重式火山で,中央部には溶岩円頂丘がある。外輪山には標高800~1000mの藻琴(もこと)山,サマッケヌプリ,コトニヌプリ,サマッカリヌプリなどがある。これらの山は地層からみて,いくつかの成層火山からなる山体が洪積世後半の十数回にわたる大規模で断続的な火山活動をくりかえした後,陥没して生じた屈斜路カルデラのカルデラ壁で,それは北部と西部でとくに明確である。南部は開析されてカルデラ壁が明確でなく,東部はカルデラ形成後,サワンチサップ(520m),アトサヌプリ(硫黄山,508m)などの火山が噴出し,その西に屈斜路湖が形成された。湖岸段丘の発達から,過去3回にわたって湖面の低下したことが知られる。北東端に流れこむ湯川にアトサヌプリ火山からの酸性の水が含まれているので,湖水の水素イオン濃度が低く,プランクトンや魚類は乏しい。ほかに尾札部(おさつべ)川などが流入,南端の釧路川から流出する。

 湖は阿寒国立公園の東部にある観光地として知られ,その拠点が湖の南東方約12kmにある弟子屈である。ここには温泉,旅館,民宿などの宿泊施設のほか,各観光地へのバスターミナル,スキー場もある。屈斜路湖の東岸には,北から仁伏(にぶし),砂湯,池ノ湯,和琴の各温泉がある。湖の南部にある和琴半島は,尾札部川の扇状地が発達して連結された陸繫島で,周辺には各所噴気孔があり,一帯ミンミンゼミの北限生息地として天然記念物に指定されている。湖は冬季でも凍結しないため,ハクチョウが飛来する。屈斜路カルデラ外輪山の鞍部にあたる美幌峠(525m)からは,このカルデラ全域,北見盆地,オホーツク海を展望することができる。美幌町から美幌峠を経て屈斜路湖に至る国道243号線が観光ルートとして一般的である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「屈斜路湖」の意味・わかりやすい解説

屈斜路湖
くっしゃろこ

北海道東部釧路(くしろ)総合振興局管内の弟子屈(てしかが)町にあるカルデラ湖。周囲57キロメートル、面積79.3平方キロメートル。水深は40メートル前後が広範囲を占め、最大117.5メートル。藻琴(もこと)山(1000メートル)、サマッカリヌプリ(974メートル)、サマッケヌプリ(898メートル)などの外輪山で囲まれた屈斜路カルデラの北西部を占め、湖の中央に溶岩円頂丘を頂く二重式火山の中島(355メートル、面積約5.7平方キロメートル)が浮かぶ。「くっしゃろ」はアイヌ語の「クッチャロ」(のど)に由来する。南岸に和琴半島(わことはんとう)が突き出る。東岸、南岸には仁伏(にぶし)、砂湯、池ノ湯、和琴の各温泉が湧出(ゆうしゅつ)し、流入河川はおよそ100に及び、南東から釧路川が流出する。和琴半島はミンミンゼミ発生地の北限である。湖岸を国道243号、主要道道52号が通り、243号が外輪山を横断する美幌峠(びほろとうげ)から一望できる屈斜路湖、和琴半島、アトサヌプリ(508メートル)は阿寒摩周(あかんましゅう)国立公園有数の景勝地である。

[古川史郎 2018年5月21日]


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百科事典マイペディア 「屈斜路湖」の意味・わかりやすい解説

屈斜路湖【くっしゃろこ】

〈くっちゃろこ〉とも。北海道東部,阿寒国立公園にあり,大規模な屈斜路カルデラの西部を占め,中央に中島がある。標高121m,面積79.54km2,最深117.5m,透明度9m,魚類は少ない。湖岸に川湯,和琴など温泉が多い。南岸の和琴半島が探勝の中心。
→関連項目釧路川標茶[町]弟子屈[町]美幌峠

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「屈斜路湖」の意味・わかりやすい解説

屈斜路湖
くっしゃろこ

北海道東部,弟子屈 (てしかが) 町にある湖。世界最大の屈斜路カルデラ (東西約 26km,南北約 20km) の北西にあたり,面積 79.3km2,周囲 57km,湖面標高 121m,最大水深 117m。屈斜路カルデラ壁は南部を除いて完全に連続し,平均比高は 400mに達する。陥没後その中心部にアトサヌプリ火山群,南東部に摩周湖周辺の火山,北西部に屈斜路湖の中央にある中島などの火口丘寄生火山が噴出。湖の北西側に美幌峠 (525m) ,藻琴山 (1000m) ,津別峠の景勝地がある。湖の南西端から釧路川が流出する。湖岸に仁伏 (にぶし) ,砂湯,池ノ湯,川湯,和琴などの温泉群が分布。夏季のキャンプや,保養,観光地として有名。阿寒国立公園に属する。

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事典 日本の地域遺産 「屈斜路湖」の解説

屈斜路湖

(北海道川上郡弟子屈町)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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世界大百科事典(旧版)内の屈斜路湖の言及

【屈斜路湖】より

…これらの山は地層からみて,いくつかの成層火山からなる山体が洪積世後半の十数回にわたる大規模で断続的な火山活動をくりかえした後,陥没して生じた屈斜路カルデラのカルデラ壁で,それは北部と西部でとくに明確である。南部は開析されてカルデラ壁が明確でなく,東部はカルデラ形成後,サワンチサップ(520m),アトサヌプリ(硫黄山,512m)などの火山が噴出し,その西に屈斜路湖が形成された。湖岸段丘の発達から,過去3回にわたって湖面の低下したことが知られる。…

※「屈斜路湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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