山下(読み)やました

精選版 日本国語大辞典 「山下」の意味・読み・例文・類語

やま‐した【山下】

[1] 〘名〙 山の下の方。山のふもと。山すそなど。やまもと。また、山の木や草の繁みの下。
万葉(8C後)一〇・二一六二「神名火の山下(やました)とよみ行く水にかはづ鳴くなり秋と言はむとや」
[2] 東京都台東区上野、上野台地のふもとの地域の通称。江戸時代は岡場所があり、火除(ひよけ)空地見世物などが並び盛り場として知られた。
[語誌]((一)について) (1)「万葉集」では、本来あまり人目につかない場所で、激しく音を立てて流れる水、つややかに咲き誇る花、美しく色づいたもみじなどに着目して詠まれている。
(2)「古今和歌集」以降では、人目にふれないでいることに、主眼が置かれるようになり、特に、木々の影で、激しく流れる水を、ひそかな恋情にたとえる例が多くなるが、また、季節を表わす風物として、山下の風の冷たさなどが詠まれる例も見られる。→山下風山下水

さん‐げ【山下】

太平記(14C後)一四八日八幡(やはた)の山下(サンゲ)に陣を取る」

さん‐か【山下】

〘名〙 山のした。麓(ふもと)。さんげ。
※新撰万葉(893‐913)上「山下夏来何事悲、郭公処々数鳴詩」 〔史記‐樊噲伝〕

やました【山下】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「山下」の意味・読み・例文・類語

やました【山下】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「山下」姓の人物
山下清やましたきよし
山下耕作やましたこうさく
山下新太郎やましたしんたろう
山下澄人やましたすみと
山下実やましたみのる
山下泰裕やましたやすひろ

やま‐した【山下】

山のした。山のふもと。
山の茂みの下かげ。
「石走る―たぎつ山川の心くだけて恋ひや渡らん」〈金槐集・中〉

さん‐か【山下】

山のした。ふもと。さんげ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「山下」の解説

山下
やました

[現在地名]富江町山下郷

たけの西に位置し、南西部は海に臨む。近世は富江村の枝郷。寛文元年(一六六一)富江五島領となったことに伴い、宇久うく島より百姓を移し、開拓と漁労に当たらせたという。その折に大山祇おおやまづみ神社(山神宮)が祀られたとされる。富江領内で最初に瓦焼が行われ、その跡地が残る。嘉永年間(一八四八―五四)百姓の与助が独力で防潮石垣を築いたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

普及版 字通 「山下」の読み・字形・画数・意味

【山下】さんか

山のふもと。

字通「山」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android