山陽小野田(市)(読み)さんようおのだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山陽小野田(市)」の意味・わかりやすい解説

山陽小野田(市)
さんようおのだ

山口県南西部、瀬戸内海に臨む工業都市。2005年(平成17)小野田市と、厚狭(あさ)郡山陽町とが合併して、山陽小野田市となった。中央部を厚狭川、東部を有帆(ありほ)川が流れ、周防灘(すおうなだ)に注ぐ。沿岸部は干拓地で、市街地の後背は丘陵となっている。ほぼ中央をJR山陽新幹線、山陽本線、国道2号が、また海岸寄りを山陽自動車道、国道190号が東西に走る。山陽本線からは美祢(みね)線と小野田線が分岐している。美祢線に平行して国道316号が走る。旧山陽町の厚狭地区は『和名抄(わみょうしょう)』の厚狭郷、厚狭郡家の地で、中世には鴨庄(かものしょう)や山井別府(やまのいべっぷ)の荘園(しょうえん)が成立していた。また、埴生(はぶ)地区には山陽道埴生駅家(はぶのうまや)が置かれていた。一方、旧小野田市は古代陶業の中心地で、『延喜式(えんぎしき)』にみえる長門瓷器(ながとしき)の産地として知られていた。近世には塩田による製塩や石炭採掘が盛んになったが、その後、塩田は姿を消し、炭田もすべて閉山している。明治中期には小野田セメント(現、太平洋セメント)や日本舎密(せいみ)(現、日産化学)が設置され、大正期には日本最初の火薬工場である日本化薬や、田辺製薬(現、田辺三菱製薬)、小野田化学なども加わり、現在では化学工業を中心とした工業都市へと発展している。沿岸部ではノリの養殖が行われている。江汐(えじお)湖を中心とした江汐公園はツツジの名所で、夜景の美しい竜王山公園もサクラの名所として知られる。埴生には山陽オートレース場がある。周防灘干拓の遺構である浜五挺唐樋(はまごちょうからひ)は国の史跡、旧小野田セメントのセメント焼成用竪窯(たてがま)は国の重要文化財に指定されている。面積133.09平方キロメートル、人口6万0326(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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