岡白駒(読み)オカハック

デジタル大辞泉 「岡白駒」の意味・読み・例文・類語

おか‐はっく〔をかハクク〕【岡白駒】

[1692~1767]江戸中期の儒学者。播磨はりまの人。中国小説の訓訳もした。著「皇朝儒臣伝」「小説奇言」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「岡白駒」の意味・読み・例文・類語

おか‐はっく【岡白駒】

江戸中期の儒者播磨の人。白駒は名。字は千里通称太仲。号龍洲。京坂に出て徂徠学洗礼を受け、古注学による経書を講義、中国白話小説の注解翻訳につとめる。著「小説精言」「小説奇言」「水滸伝訳解」「助字訳通」「開口新語」など。元祿五~明和四年(一六九二‐一七六七

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「岡白駒」の意味・わかりやすい解説

岡白駒 (おかはっく)
生没年:1692-1767(元禄5-明和4)

江戸中期の儒者。姓は岡田ともいい,通称は太仲。字は千里,号は竜州。播州網干の出身で,のち京都に住み,古注学により経書を講義。とくに中国白話小説の注解,翻訳で活躍した。《醒世恒言》の4話に訓点を施した《小説精言》(1743)を出し,さらにのち《小説奇言》を刊行,門人沢田一斎の《小説粋言》とともに〈和刻三言〉と称せられた。ほかに多くの中国古典研究の著書がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「岡白駒」の解説

岡白駒

没年:明和4.11.8(1767.12.28)
生年元禄5.3(1692)
江戸時代中期の漢学者。播磨(兵庫県)の人。白駒は名。字は千里,通称は太仲。竜洲と号す。本姓河野氏。はじめ医を学ぶが,儒に転向。江戸,長崎,大坂などを転々とし,のちに京都に定住した。学は古注を主とし,語学に長じていた。著述は極めて多く,名声を得て,佐賀藩の支藩である蓮池藩に儒官として仕えた。編著のほとんどは,経書の通俗的注釈書であるが,その語学力を生かして白話小説の翻訳を早くから行い,岡島冠山と共に,のちの文人たちに大きな影響を与えた。他に漢文笑話集や語学書などの著述も残る。<参考文献>尾形仂『小説三言』

(高橋昌彦)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岡白駒」の意味・わかりやすい解説

岡白駒
おかはっく

[生]元禄5(1692).播磨
[没]明和4(1767).11.8. 京都
江戸時代中期の漢学者。初め西宮で医を業としたが,のちに京都で儒学を講じ,鍋島侯に仕えた。長崎に遊学して唐音を学び,晩年は京都に居住して岡島冠山と親交を結んで,稗史 (はいし) 小説を講義しながら中国小説の翻訳に努めた。『詩経毛伝補義』『孔子家語補注』など漢学者としての業績よりも,『小説精言』 (1743) ,『小説奇言』 (53) などの翻訳によって有名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「岡白駒」の解説

岡白駒 おか-はっく

1692-1767 江戸時代中期の儒者。
元禄(げんろく)5年生まれ。摂津西宮(兵庫県)の医師であったが,京都にでて朱子学をまなび,古注学に転じた。晩年は肥前蓮池(はすのいけ)藩(佐賀県)につかえた。明和4年11月8日死去。76歳。播磨(はりま)(兵庫県)出身。姓は岡田とも。字(あざな)は千里。通称は太仲。号は竜洲。著作に「詩経毛伝補義」「孔子家語補註」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の岡白駒の言及

【小説】より

…【海老根 宏】
[日本における小説の成立]
 〈小説〉という言葉は,《漢書》芸文志(げいもんし)に〈小説家流は,蓋し稗官より出づ〉とあるのが,もっともはやい用例の一つだが,日本で文学ジャンルとしての〈小説〉が,識者の注目を集めるようになったのは,中国語研究の教材として輸入された白話小説が,愛読されはじめた18世紀初頭のことであった。いわゆる三言二拍から抄訳した岡白駒の《小説精言》(1743),《小説奇言》(1753),沢田一斎の《小説粋言》(1758)の刊行は,〈小説〉という言葉を読書人のあいだに定着させた。近世後期に登場した読本(よみほん)のジャンルは,都賀(つが)庭鐘の《英草紙(はなぶさぞうし)》(1749)にはじまり,建部(たけべ)綾足,上田秋成,山東京伝,曲亭馬琴らの作家を輩出するが,彼らが翻案の材源,ないしは創作の規範として求めたのは,明・清の白話小説であった。…

※「岡白駒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android