日本大百科全書(ニッポニカ) 「峯相記(ほうそうき)」の意味・わかりやすい解説
峯相記(ほうそうき)
ほうそうき
「ぶしょうき」「みねあいき」ともいう。1巻。1348年(正平3・貞和4)10月18日、播磨(はりま)国峯相山鶏足(けいそく)寺(姫路市)に参詣(さんけい)した作者(不詳)が、日没のため困惑していたとき旧知の老僧に出会い、その宿坊において深夜まで問答した内容を記している。その内容は、華厳(けごん)宗など諸宗派の教義から書写山(しょしゃざん)など播磨国所々霊場の縁起、同国惣田(そうでん)数の推移(鎌倉時代には約1万7000町)、そして同国の古事、さらには悪党の蜂起(ほうき)と幕府・守護方による討伐のことにまで及んでいる。播磨国の地誌として、また惣田数などは史料的にも有用である。なお、斑鳩(いかるが)寺(兵庫県揖保(いぼ)郡太子(たいし)町)が所蔵している1511年(永正8)に書写山別院定願寺において慶紹(けいしょう)が書写したものは現存最古の写本である。『続群書類従』釈家部、『続史籍集覧』第一冊、『大日本仏教全書』寺誌叢書(そうしょ)所収。
[岸田裕之]