島・嶋(読み)しま

精選版 日本国語大辞典 「島・嶋」の意味・読み・例文・類語

しま【島・嶋】

〘名〙
① 周囲を水で囲まれた陸地。分布の状態から諸島、列島、孤島などに、また、成因から陸島、洋島に区別され、洋島には火山島、珊瑚(さんご)島などがある。
※古事記(712)上・歌謡「うち廻(み)る 斯麻(シマ)の埼々 かき廻る 磯の埼落ちず」
水流に臨んでいる①のようなところ。洲(す)
万葉(8C後)一三・三二三二「島伝ひ 見れども飽かず み吉野の 滝もとどろに 落つる白波」
泉水築山などのある庭園。林泉。
※万葉(8C後)三・四五二「妹として二人作りしわが山斎(しま)は木高く繁くなりにけるかも」
④ 「しまだい(島台)(一)」の略。
※竹むきが記(1349)下「大きなる金のしまに水を彫りて舟二そうを浮かぶ」
⑤ 集落、村落の意。
⑥ ある一区画をなした土地。一般社会と区別して限られた地帯。特に、遊廓や貧民街、やくざ縄張りなどの地帯をいう。勢力範囲。地盤。縄張り。界隈。
※勝山記‐天文二三年(1554)「此年の拾月信濃の千久殿おや子三人以上八人大原の嶋へなかされ給ふ」
⑦ 大坂で、新町島原を廓(くるわ)というのに対して、それ以外の色町の称。江戸でいう岡場所。
浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油屋「おれが名は油屋の久三郎とおっしゃった〈略〉こちの嶋では久(ひさ)様といふわいの」
⑧ 頼りや助けとなる物事。よすが。
※説経節・説経苅萱(1631)下「もはやたのむしまもないほどに、国をば御一もんにあづけをき」
刑罰として罪人の送られる遠隔の地。遠流の地。特に近世では、八丈島三宅島など。→島流し
※歌舞伎・与話情浮名横櫛(切られ与三)(1853)六幕「死ぬならせめて育ったる、土地を一と目と思ひ込み、島をぬけ出た丸木船」
⑩ (形動) えたいの知れないこと。出所素姓のはっきりしないさま。
※浮世草子・好色産毛(1695頃)五「御病人の産立(ういだち)、嶋原の嶋(シマ)な事もなく」
⑪ ①の形の染模様。→島摺り
たまきはる(1219)「水の文(もん)のあやの裳に、金(かね)のしまをつけて」
⑬ うどん屋仲間でそばをいう。
※商業符牒袖宝(1884)うどん「そばを、しま」
[補注]「しま」の「ま」は、「浜」「沼」「隈」「まま(崖)」など、ある地勢・地形を表わす語の第二音節に共通し、それは地名「有馬・入間・笠間・勝間・群馬・相馬・志摩・但馬・筑摩・野間・播磨・三間」などにも多く認められるところから、地形を表わす形態素と見る説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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