朝日日本歴史人物事典 「嵐三五郎(初代)」の解説
嵐三五郎(初代)
生年:貞享4(1687)
江戸中期,上方の歌舞伎役者,座本。屋号京屋。俳名雷子。初代嵐勘四郎・3代目嵐三右衛門の門弟。京都岡崎村の農家の子として生まれる。熊五郎の名で大坂竹田芝居の子役を勤め,嵐三五郎と改めて享保6(1721)年大坂嵐三右衛門座が大芝居の初舞台。19年には立役上上吉の位付けを得た。小兵で身軽ながら芸は凜々しく,おかしみのある和事や所作事を得意としたが,器量すぐれず色事や上品な役は不出来で,まるで道外形であって「誠のやつし方ではない」という批判もあった。「後面」の所作(後頭部に面を付け,身体の前後を別役に演じ分けて踊る)や七変化などに好評を得た。名跡は昭和期の7代まである。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1,2期
(上野典子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報