嵐音八(初代)(読み)あらし・おとはち

朝日日本歴史人物事典 「嵐音八(初代)」の解説

嵐音八(初代)

没年:明和6.3.25(1769.5.1)
生年:元禄11(1698)
江戸中期の歌舞伎役者。京都生まれ。初代嵐三五郎の門弟屋号蛭子屋,俳名和考,初名嵐音之助。大坂竹田芝居の出身で,立役として江戸に下り道外形に転じた。顎のしゃくれた可笑味と愛嬌のある顔だち,華やかな芸と巧みな台詞で人気を博し,三都道外形の随一と称えられた。かたわら江戸人形町に鹿の子餅屋を経営してこれも評判よく,「鹿の子餅につこともせずをりふし居」などと雑俳狂句や戯作題材にされた。没後,噺本『話稿・鹿の子餅』(1772)が刊行され,角書や書名に音八を暗示し口絵にも勝川春章画の音八の肖像があるが,内容に直接の関係はない。嵐音八の名跡幕末まで4代ある。

(池上文男)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「嵐音八(初代)」の解説

嵐音八(初代) あらし-おとはち

1711-1769 江戸時代中期の歌舞伎役者。
正徳(しょうとく)元年生まれ。初代嵐三五郎に入門,享保(きょうほう)17年江戸にでて道外方(どうけがた)として活躍した。当たり役は「合槌十二段」の金売吉次など。江戸人形町で鹿の子餅(かのこもち)の店を経営した。明和6年3月25日死去。59歳。一説享年は72歳(元禄11年生まれ)。京都出身。初名は嵐音之助。俳名は和考。屋号は蛭子(えびす)屋。

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