川崎・男児投げ落とし殺害(読み)かわさきだんじなげおとしさつがい

知恵蔵 の解説

川崎・男児投げ落とし殺害

2006年3月20日午後1時前、川崎市多摩区のマンションの住民から、「子どもが落ちた」と110番通報があった。マンション脇の芝生の上に、このマンションの14階に住む小学3年の男児(当時9)が倒れており、間もなく心臓破裂で死亡した。最上階の15階に男児のランドセルが置かれていた。神奈川県警が捜査中の29日、このマンションを清掃中の女性作業員が、不審な男に「ごみがあるので見てほしい」と15階に連れて行かれ、突き倒された。県警は同日、男児も同じ階で被害に遭ったとみて殺人事件として捜査本部を設けた。防犯ビデオに不審な男が自転車を押す姿が映り、この男が男児の転落直前、男児と一緒にビデオに映っていたことが判明した。4月1日、川崎市麻生区の無職男(当時41)が捜査本部に出頭、作業員に対する殺人未遂などの容疑で逮捕された。男は男児についても「殺したかったから投げ落とした」と殺害を認め再逮捕、このほか作業員を襲った日に別のマンションで、10歳の男児を12階通路で抱え上げて投げ落とそうとしたとして立件された。初公判で男は起訴事実を認めた。検察側は動機について、営業成績を注意されて仕事を辞め、自殺を図って入院させられた後、入院させた妻を逆恨みして刺殺しようとしたが断念。「幸せな家庭に対するねたみを募らせ、子どもや女性を殺して家庭を崩壊させてやりたいと考えた」と指摘した。

(緒方健二 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android