精選版 日本国語大辞典 「工・匠・巧」の意味・読み・例文・類語
たくみ【工・匠・巧】
(動詞「たくむ(工)」の連用形の名詞化)
[1] 〘名〙
[一] 人についていう。
① 手や道具を用いて物を作り出すことを業とする人。細工師。工匠。職人。「こだくみ(木工)」「かなだくみ(金工)」など。
※大鏡(12C前)二「工(たくみ)ども裏板(うらいた)どもをいとうるはしくかなかきて」
[二] 事柄についていう。
① もっぱら行なう仕事。
※散木奇歌集(1128頃)恋上「明くれは物思ふ事をたくみにてわりなく胸を知る人ぞなき」
② いろいろ思いめぐらして、見つけ出したよい方法。工夫。趣向。手段。
※無名抄(1211頃)「哥は作りたてたる風情、たくみはゆゆしけれど」
※平仮名古活字三巻本宝物集(1179頃)下「さては我をすかしやりてまをとこにころさせんたくみなりとて」
④ 美しくしつらうこと。また、美しくしつらえるもの。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九「均綵の濃淡(ちょうたむ)は敬君も其の巧(タクミ)に逾(こ)ゆること能はず」
⑤ 芸術や芸術的雰囲気(ふんいき)をさしていう。
[2] 〘形動〙 (工・巧) てぎわよくすぐれているさま。できばえのすぐれているさま。上手(じょうず)であるさま。巧妙。器用。また、現代ではずるがしこい意をこめていう場合もある。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「天鈿女(あまのうすめの)命、〈略〉天石窟戸(あまのいはやと)の前に立(た)たして、巧(タクミ)に作俳優(わさをき)す」
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