左経記(読み)さけいき

改訂新版 世界大百科事典 「左経記」の意味・わかりやすい解説

左経記 (さけいき)

参議左大弁源経頼(985-1039)の日記名称は〈左大弁経頼〉に由来するが,〈経頼〉の偏旁により《糸束記》ともいう。中間に欠逸はあるが,1016年(長和5)から35年(長元8)に及ぶ記事が伝存し,ほかに1029年より36年の間の凶事関係記事を後人が抄出した〈類聚雑例〉がある。右大臣藤原実資の《小右記》と同時代の日記で,両者比較対照することにより得るところが少なくない。《増補史料大成所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「左経記」の意味・わかりやすい解説

左経記
さけいき

平安中期の参議左大弁源経頼(つねより)(985―1039)の日記。写本15冊。経頼の偏旁(へんぼう)を採って「糸束記(しそくき)」ともいい、左経記は「左大弁経頼記」の略称。1016年(長和5)から1036年(長元9)までの記事を含み、第15冊は「類聚雑例(るいじゅうざつれい)」と題し、1029年(長元2)から1036年までの凶事を収載する。ほかに1037年(長暦1)の記のあったことが知られるが、現存しない。この間、まま記事の欠けたところはあるが、摂関最盛期にあたり、しかも彼が弁官、蔵人(くろうど)、頭(とう)を歴任したことから、その記事は政事に関することが多く、藤原実資(さねすけ)の『小右記(しょうゆうき)』などとともに、この時代の研究上の貴重な史料である。刊本に『史料大成』本、『史料通覧』本がある。

[林 幹彌]

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百科事典マイペディア 「左経記」の意味・わかりやすい解説

左経記【さけいき】

源経頼(つねより)の日記。経頼は参議左大弁(さんぎさだいべん)の官職にあり,官職と名前一字をとって書名とした。正しくは1016年から1035年の日記と,1029年から1036年の凶事についての記録を抄録した〈類聚雑例(るいじゅうざつれい)〉の総称。摂関政治期の政治・社会の動きを知ることのできる好史料。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「左経記」の意味・わかりやすい解説

左経記
さけいき

平安時代中期に書かれた参議左大弁源経頼の日記。『経頼記』『糸束記』ともいう。写本で 15冊。欠けている年もあるが,長和5 (1016) ~長元9 (36) 年の記事を含み,当時の宮廷儀式,摂関政治,貴族生活などを知るうえに貴重な史料。『史料通覧』『史料大成』に所収。

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