差引(読み)さしひく

精選版 日本国語大辞典 「差引」の意味・読み・例文・類語

さし‐ひ・く【差引】

[1] 〘自カ五(四)〙
① 差したり引いたりする。手を水平に前に伸ばしたり体の近くに縮めたりする。
※花鏡(1424)動十分心動七分身「さしひく手を、ちらと、心ほどには動かさで」
② 潮や温度が上がったり下がったりする。
※光悦本謡曲・善知鳥(1465頃)「高縄をさし引塩の末の松山風あれて」
[2] 〘他カ五(四)〙
① ある分量のものから一部分を減らす。引き去る。
多聞院日記‐天正一二年(1584)三月五日「大市庄算用に左進上了。指引てのこり十石一斗未進」
② 二つのものを比べ損得過不足などをはかる。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「てんでん奉公人をわるくいふから又奉公人の方でもわるくいう筈だァ。差引(サシヒイ)て見りゃあお互っこだから」
③ 過不足を計算する。収入と支出との計算をする。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「八八六十四文取て湯に入る時は一人分十文払ふ、差引(サシヒ)くと五十四文づつ利がある」
簿記で、貸借のうち、金額の大きい方から小さい方を引いて残高を出す。

さっ‐ぴ・く【差引】

〘他カ五(四)〙 「さしひく(差引)」の変化した語。
※続あにいもうと(1934)〈室生犀星〉「三十五円をさっ引いて正味六十五円しかわたしの手に渡さないでゐて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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