常楽寺(長野県)(読み)じょうらくじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「常楽寺(長野県)」の意味・わかりやすい解説

常楽寺(長野県)
じょうらくじ

長野県上田市別所(べっしょ)温泉にある天台宗別格本山。金剛山照明院と号し、北向観音(きたむきかんのん)として名高い観音堂の本坊。本尊は妙観察智弥陀如来(みょうかんさつちみだにょらい)。観音堂は、825年(天長2)噴火に際し、慈覚大師円仁(えんにん)が安鎮の法を修したところ、観音菩薩(ぼさつ)が現れ、「北斗星が世界のよりどころであるように、われも一切衆生(いっさいしゅじょう)のよりどころとならん」というお告げにより、北向きに開創されたと伝え、古来、厄除(やくよけ)観音として名高い。常楽寺は観音堂創建のとき三楽寺(常楽、安楽、長楽)の一寺として建立されたもので、969年(安和2)平維茂(これしげ)が再興、増築したと伝える。1182年(寿永1)木曽義仲(きそよしなか)の戦乱により焼失し、源頼朝(よりとも)により再興された。本堂裏にある石造多宝塔は北向観音の霊像が出現したところで国重要文化財。「長野の善光寺に詣(もう)で来世往生(おうじょう)を、北向観音で現世利益(りやく)を祈願すべし」といわれた。寺宝に「三浦屋店頭図」(国重要美術品)などの貴重な絵馬を多く蔵する。1970年(昭和45)常楽寺美術館が開設された。

[田村晃祐]


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