座・坐(読み)ざ

  • ざ・す
  • ざ・する

精選版 日本国語大辞典の解説

[1] 〘名〙
① すわる場所。居どころ。また、そのものの占める位置。
(イ) 席。座席。
※続日本紀‐大宝四年(704)正月丁亥「五位已上始座始設榻焉」
※源氏(1001‐14頃)宿木「下(くだ)りたるざに帰りつき給へる程心ぐるしきまでそみえける」 〔論語‐郷党〕
(ロ) 宴席、歌会、連歌の会などの集会の席。また、その集会。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「『けふ、ざにたてまつれ。たうとをさにさかりつきたる日なり』といはす」
※平家(13C前)二「少将をはじめ奉て、母上めうとの女房、其座になみゐたる人々、心あるも心なきも、皆袖をぞぬらしける」 〔韓翃‐送万巨詩〕
(ハ) 物を据えて置く場所。
(ニ) くらい。地位。「政権の座」 〔常‐授路嗣恭洪州観察使制〕
(ホ) 染色体上における遺伝子の位置。遺伝子座。
(ヘ) 落語家が座って話す所。高座。
※江戸繁昌記(1832‐36)三「一楼数楹、奥に当って座を設く」
② 人がすわる場所や物を据える場所に置くもの。
(イ) すわるべき所に敷く敷物。しとね、畳、円座などの称。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「おはします殿の東の廂(ひさし)、東むきに倚子(いし)立てて、冠者(くゎんざ)の御座、引入(ひきいれ)の大臣の御ざ、御前にあり」
(ロ) 物をとりつける台。据えておく台。
※更級日記(1059頃)「蓮花の座の、土をあがりたる高さ三四尺、仏の御丈六尺ばかりにて」
(ハ) 金具の下に装飾としてつけるもの。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 仏事や神事を修行し、また、教理を講義する集会、また、それを行なう所。
※大鏡(12C前)六「此御寺の三宝、今日の座の戒和尚に請ぜられ給仏・菩薩を証としたてまつらむ」
④ 星座。星の宿。〔後漢書‐逸民伝〕
⑤ 中世、近世において、特権的な意味も含みもった同業者の集団。
(イ) 中世、商工業者の組合。朝廷、貴族、寺社などの保護を受け、特定の商品の生産、販売の独占権をもっていた。
※大徳寺文書‐久安六年(1150)四月八日・藤原氏女家地券紛失状案「壱所四条町切革坐棚、自南二番三番也」
※虎明本狂言・煎物(室町末‐近世初)「某ぎおんのゑの茶やの座をもってござるに依て」
(ロ) 田楽(でんがく)、猿楽など、中世の芸能で、仕手方(してかた)・囃子(はやし)方などの出演者によって作られた集団。
※太平記(14C後)五「新座(しんザ)・本座の田楽を呼下して。日夜朝暮に弄(もてあそぶ)事他事無し」
※風姿花伝(1400‐02頃)四「秦(はだの)氏安より光太郎・金春まで、廿九代の遠孫なり。これ、大和国円満井(ゑんまんゐ)の座也」
(ハ) 近世、徳川幕府により設けられ、貨幣や度量衡など特定の免許品を製造した公設の機関。金座、銀座、枡座、秤座、朱座など。
※随筆・折たく柴の記(1716頃)中「すべて上にまゐらする所の金銀共に、おのおの其座といふものの許にして」
(ニ) 近世以後、浄瑠璃、歌舞伎などの芸能に従事する人々の団体。また、その芝居を興行する場所。劇場。
※評判記・野郎虫(1660)花井浅之丞「このごろは吉郎兵衛座、すでにつぶれなんとしけるに、〈略〉あまた金銀を出して、座をすくはれたるといへば」
(ホ) 主として中世、神社の氏子(うじこ)が祭を行なう特定の組織・集団。宮座(みやざ)
⑥ 栗・椎などの実が、いがなどに付着する部分。
[2] 〘接尾〙
① 祭神、仏像などの数を数えるのに用いる。
※延喜式(927)一「祈年祭神三千一百卅二座」
※読本・椿説弓張月(1807‐11)残「彼此(をちこち)を見かへれば、前面(むかひ)に一坐(いちザ)の古廟ありけり」
② 仏教で、連続して行なわれる教理などの講義の回数や護摩を焚いて祈祷する回数などを数えるのに用いる。「百座法談」
※御湯殿上日記‐天文三年(1534)正月八日「けふより太けん准大法におこなはるる〈略〉二座ありつれとも、一座御ちゃうもんにてくゎん御なる」
③ 神道で、祓(はらえ)の回数を数えるのに用いる。「七座の祓」「百座の祓」など。
④ 里神楽などで、曲の数を数えるのに用いる。
⑤ 劇団、劇場などを数えたり、名に添えたりするのに用いる。「江戸三座」「中村座」など。
⑥ 遊里で、客を迎えるための、定まった時間の一区切りを数えるのに用いる。
※浮世草子・新色五巻書(1698)一「『是は二座に付ておきゃ』と。欲に目玉の蜻蛉返り」
⑦ 星座の名に添える。「琴座」「オリオン座」など。
⑧ 山などを数えるのに用いる。「八千メートル峰七座」
〘自サ変〙 ざ・す 〘自サ変〙
① すわる。おる。いる。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「殿上人・かんだちめも、さりぬべき御前にざし」
② まきぞえを食う。かかりあいになる。関係する。連座する。
※台記‐天養二年(1145)一〇月四日「左衛門尉光信〈略〉坐義親、流罪」
※雲は天才である(1906)〈石川啄木〉一「我々が大日本の教育を乱すといふ罪にも坐する次第で」
③ 乗りあげる。座礁する。
※愛弟通信(1894‐95)〈国木田独歩〉威海衛艦隊攻撃詳報「恐らくは狼狽の余り暗礁に座して」
〘自サ変〙 ⇒ざする(座)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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