庸(漢字)

普及版 字通 「庸(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] ヨウ
[字訓] かき・もちいる・つね・おろか

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
庚(こう)+用。庚は午(杵(きね))を両手でもつ形、用は木を柵のように組む形。そこに土を入れ、杵でつき固める。いわゆる版築の法に近いもので、こうして土(どよう)を作る。ゆえに庸はの初文。〔説文〕三下に「用ふるなり。用に從ひ、庚に從ふ。庚は事を(あらた)むるなり」とするが、更新の意をもつ字ではない。〔詩、大雅、高〕「以て爾(なんぢ)の庸(しろ)と作(な)せ」とあるのが、字の本義。城の小なるものを庸といい、諸侯の微なるものを附庸という。〔左伝、僖二十七年〕「車、庸を以てす」は功庸、その功に応じて車服を賜与する意。また庸常・中庸の意から、凡庸の意となる。用と通用する。庸が多義化するに及んで、その原義を示すが作られた。

[訓義]
1. かき、しろ。
2. いさお、てがら、つとめ、ほねおり、よい。
3. もちいる、力を用いる。
4. つね、なみ、のり、おろか。
5. 寧・乃(だい)と通じ、なんぞ、すなわち。

[古辞書の訓]
名義抄〕庸 オロカナリ・ツタナシ・モチヰル・ツネニ・イトナム・カハ・ハタヘ・ヲサナシ・ツタフ・ツカヒビト・ツクノフ・ウルハシ・ワヅカニ・イヅクゾ・アサシ・ナンゾ・クラフ

[声系]
〔説文〕に庸声として傭・など七字を録する。は庸の繁文。大鐘、その形は桶に類する。用・甬・庸は、それぞれ形声相承ける字である。

[語系]
庸・用・甬jiongは喩母(ゆぼ)、同声。用は木柵、甬は手桶、庸は木柵に土を入れ固めてとする。一系の字。(寧)nyeng、乃nは声近く、庸をその義に用いることがある。

[熟語]
庸暗・庸安・庸闇・庸医・庸音庸丐・庸回・庸・庸・庸器・庸客・庸虚・庸・庸近庸狗・庸愚・庸勲・庸君庸蹇・庸言・庸固・庸故・庸功・庸行庸狡・庸才・庸材・庸作・庸士庸厮・庸次・庸弱・庸主庸豎・庸衆庸孰・庸常・庸情庸臣・庸人・庸績・庸浅・庸俗・庸庸懦・庸短庸賃・庸田庸駑・庸馬庸輩庸鄙庸夫・庸夫・庸・庸保・庸僕・庸民庸妄・庸庸庸俚・庸流庸陋庸碌
[下接語]
愚庸・勲庸・功庸・輸庸・旌庸・租庸・致庸・中庸・徴庸・丁庸・登庸・附庸・保庸・凡庸・流庸

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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