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引く・曳く・退く・牽く・惹く ひく

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大辞林 第三版の解説

ひく【引く・曳く・退く・牽く・惹く】

( 動五[四] )
(他動詞)
物に手をかけて近くへ寄せる。 《引》 〔綱や網の場合は「曳く」とも書く〕
物に手をかけて力を入れ、全体を自分の方へ近寄せる。引っ張る。
押す 「押しても-・いてもびくともしない」 「地曳き網を-・く」
装置や道具の一部分を、自分の近くへ寄せる。 「サイド-ブレーキを-・く」 「ひもを-・くと明かりがつく」 「引き金を-・く」
引き抜く。 「大根を-・く」 「お前の山の小松-・き遊ぶ/源氏 初音
人・動物や物を離れないようにつないだりして、自分が先に立ち、ともに移動する。引っ張る。
車両などを引っ張って進む。 《引・牽・曳》 「荷車を-・く」 「たくさんの貨車を-・いた機関車」 「犬に橇そりを-・かせる」
動物などをついて来させる。 《引・曳》 「馬を-・いて村へ帰る」
無理について来させて、ある場所に移動させる。 《引・曳》 「屠所に-・かれる羊」
地面をこすって進むようにする。引きずる。 《引・曳》 「裾すそを-・く」
自分の体の中に入れる。 「かぜを-・く」
人を誘い寄せる。
呼びこむ。誘いこむ。 《引》 「店先で客を-・く」
他人の注意・心をこちらに向けさせる。 《引・惹》 「人目を-・くような服」 「同情を-・く」 「美貌に-・かれる」 「気を-・く」 「人柄に-・かれる」
線状の施設を作って、自分の方へ導き入れる。 「用水路を作って水を-・く」 「水道を-・く」 「電話を-・く」
のばす。 《引》
縮んでいたものを広げる。 「窓にカーテンを-・く」 「幕を-・く」
表面に広く塗る。 「フライパンに油を-・く」 「 蠟 ろうを-・いた紙」
本体から長く伸びるようにする。 「裾を長く-・く」
線を書く。線状に長く伸ばす。 「線を-・く」 「図面を-・く」 「納豆が糸を-・く」
長く続ける。 「声を長く-・く」
一部を取る。 《引》
数量や金額について、一部を取り去る。少なくする。 「一〇-・く三は七」 「毎月の給料から税金を-・かれている」
言葉・証拠などをあげる。 「徒然草の一節を-・く」 「吉野川を-・きて世中をうらみきつるに/古今 仮名序
くじ引きなどで、一つを選んで自分のものとする。 「おみくじを-・く」 「(トランプで)ばばを-・く」
こっそり盗む。 「ねずみが餅を-・く」
辞書・索引などを参照する。 《引》 「辞書を-・いて調べる」 「電話帳を-・いて番号を調べる」
血統・素質などを受け継ぐ。 《引》 「この子は祖父の血を-・いて気が強い」 「彼の哲学はドイツ観念論の流れを-・いている」
弓に張った弦を引っ張る。また、弓につがえた矢を射る。 《引》 「的に向かって弓を-・く」
前面から身を下げる。退却させる。 《引・退》
出ていた体・手足などを引っこめる。 「体を-・いて車をよける」 「もう少しあごを-・いて」
目立った場所や対峙している場所から下がる。 「一歩-・いて考える」 「思わず-・く雰囲気だった」
自分の側の軍勢を退却させる。 「兵を-・く」
(「身を引く」の形で)それまでかかわりのあった人や事柄との関係を断つ。 「実業界から身を-・く」
花札で遊ぶ。 《引》 「花札を-・く」
引き出物として与える。また、配付する。 「布施に馬を-・き給へりける/今鏡 村上の源氏
湯を汲んで浴びる。 「湯殿しつらひなどして御湯-・かせ奉る/平家 10
取り外す。 「橋を-・いたぞ、誤ちすな、とどよみけれども/平家 4
贔屓ひいきにする。 「この弟の左の大臣を院とともに-・き給ひて/今鏡 藤波中
(自動詞)
後ろにさがる。退却する。また、やり始めたことを途中でやめる。 《引・退》 「進むことも-・くこともできない」 「言いだしたらあとには-・かない」
長く続いた勤めをやめる。引退する。 《引・退》 「 H 先生はこの三月で本校をお-・きになる」 「今度の公演を最後に舞台から-・くことになった」
勤めなどを休む。 「『寝てゐるか』『あい、此頃は-・いてやすが、お前だから出たのよ』/洒落本・寸南破良意」
十分な程度にあったものがなくなる。 《引・退》 ↔ 出る 「潮が-・く」 「汗が-・く」 「顔から血の気が-・く」 「やっと熱が-・いた」 「腫れが-・く」
[可能] ひける
( 動下二 )
ひける
[慣用] あとを- ・糸を- ・尾を- ・杖つえを- ・手薬煉てぐすねを- ・手を- ・弓を- ・我が田へ水を- / 鼠ねずみに引かれそう

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

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