引裂(読み)ひきさく

精選版 日本国語大辞典 「引裂」の意味・読み・例文・類語

ひき‐さ・く【引裂】

[1] 〘他カ五(四)〙
① ひっぱって裂く。ひきやぶる。つんざく。
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)二「東夏は寒厳(はけしく)して身体を劈裂(ヒキサク)
② 親しい者どうしを、無理に離れさせる。特に、男女の仲を無理に離す。
歌舞伎・蝶々孖梅菊(1828)序幕二人が仲を引裂(ヒキサ)くのだ」
[2] 〘自カ下二〙 ⇒ひきさける(引裂)

ひき‐さき【引裂】

〘名〙
① 引っ張って裂くこと。引き裂くこと。
※古今料理集(1670‐74頃)五「まい茸〈略〉ひきさきとは、よきほどに則ひきさく事也」
評判記色道大鏡(1678)二「女郎と取あひくるひて打みだかれたるに、引(ヒキ)さきにてちゃせんにゆひたるもよし」

ひっ‐さ・く【引裂】

〘他カ五(四)〙 「ひきさく(引裂)」の変化した語。
※平松家本平家(13C前)九「鹿の角の一二草刈をば輒(たやす)う劈割(ヒッさき)けるとぞ聞えし」

ひき‐さ・ける【引裂】

〘自カ下一〙 ひきさ・く 〘自カ下二〙 ひっぱられて裂ける。ひきさかれる。
サントスの御作業(1591)二「イッシン フタツ ニ fiqisaqete(ヒキサケテ)

ひき‐さかれ【引裂】

〘名〙 女をののしっていう語。ひっさかれ。
浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中「ヤイここな引さかれ、其涙は与作になけこちゃ忝うないはいやい」

ひっ‐さき【引裂】

〘名〙 「ひきさき(引裂)」の変化した語。
※俳諧・信徳十百韻(1675)「つれぶし今宵小湯女大湯女 ひっさきのもとゆひ匂ふ若い衆」

ひっ‐さかれ【引裂】

〘名〙 「ひきさかれ(引裂)」の変化した語。
※浄瑠璃・蘆屋道満大内鑑(1734)三「ヤアほざいたり、ひっさかれめ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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