張扇・貼扇(読み)はりおうぎ

精選版 日本国語大辞典 「張扇・貼扇」の意味・読み・例文・類語

はり‐おうぎ ‥あふぎ【張扇・貼扇】

〘名〙
① 骨に紙を張った扇。現在ふつうに用いられているもの。
※視聴草(1830)六「夏の扇とは、橋に紙を張りたる扇也。是れは張扇・摺扇と云ふ」
② 能の稽古などで、大・小の鼓などの打楽器の代わりに木製の盤などを打って拍子をとるのに用いる特殊な扇。紙を張り合わせたり、革などで包んだりする。
歌舞伎鳴物の一つ。②の音を聞かせ、武家屋敷白州(しらす)など、いかめしい場面に用いるもの。謡曲や合方を入れて武士の試合や立回りにも用いる。
※歌舞伎・因幡小僧雨夜噺(1887)二幕「こりゃ民とやら、面を上げい。ト張扇の入りし合方になり」
外側を紙で張り包んだ扇。講談師などが、机をたたいて調子を取るのに用いる。
恋慕ながし(1898)〈小栗風葉二五「一流御座敷浪花節の太夫が、〈略〉撲然(ぴっしゃり)張扇(ハリアフギ)を叩く途端に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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