徒人・只人・直人・常人(読み)ただびと

精選版 日本国語大辞典 「徒人・只人・直人・常人」の意味・読み・例文・類語

ただ‐びと【徒人・只人・直人・常人】

〘名〙
神仏、また、その化身などに対して、ふつうの人間。また、特別の能力や才能を持っている人に対して、あたりまえの人間。つねの人。ただのひと。多く、打消の表現を伴って、すぐれていること、ただの人間でないことなどを評価していう。
書紀(720)神代下(兼方本訓)「顔(かほ)色、甚だ美(よ)く、容貌(かたち)且閑(みやび)たり。殆に常之人(タタヒト)に非(あら)す」
平家(13C前)六「凡はさい後の所労のありさまこそうたてけれ共、まことにはただ人ともおぼえぬ事共おほかりけり」
② 天皇・皇族などに対して、臣下の人。
※伊勢物語(10C前)三「二条の后のまだ帝にも仕うまつり給はで、ただ人にておはしましける時」
③ 身分ある人に対して、身分・地位の低い人。なみの身分の人。摂政関白に対して、それ以下の人、上達部(かんだちめ)殿上人(てんじょうびと)などに対して、それ以下の人など、場合により異なる。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇「土庶(タダヒト)の百千万なるい 亦王に随ひて城を出でぬ」
徒然草(1331頃)一「一の人の御有様はさらなり、ただ人も、舎人など給はるきははゆゆしと見ゆ」
僧侶に対して、俗人をいう。
※書紀(720)推古三二年四月(岩崎本平安中期訓)「夫れ道(おこなひする)人も尚法を犯す。何を以て俗(タタ)人を誨(をし)へむ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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